
『ある日、私は友達をクビになった――スマホ世代のいじめ事情』
(エミリー・バゼロン著、早川書房)について、
新聞用に書評を執筆した。
米国の中高生3人が遭遇した事例を軸に、
SNSを使いこなす子どもたちに生じている新たないじめの実態を、本書はあばいていく。
著者自身も10代のころにいじめを受けたジャーナリストだ。
特筆すべきは、米国のティーン2千万人が参加する巨大SNS、フェイスブック(FB)本社への取材。許可を得るのに6カ月かかったという。同社にはFB上でのいじめの訴えが大量に寄せられるというが、意外に貧弱な対処態勢が明らかになる。
子どもや親、学校へ向けたネットいじめ対策の具体的なアドバイスもあり、
LINEなどでのいじめが深刻化するわが国にも大いに参考になる内容だ。
ちなみに私もかつて30歳で北米に留学した時、
年齢を10歳サバ読みして現地の若者たちと交流していた。
彼ら彼女らがSNSに夢中になる様を目の当たりにし、
私も一緒に利用して、その便利さと面倒くささを体感したものである。
本書を読むと
当時と比べて子どものSNSトラブルは深刻化しているが、
一方で対処する知恵も湧きあがってきていることに
一抹の希望を感じるのであった。
書評は以下の通り:
いじめの最新実態あばく
「ある日、私は友達をクビになった」
(エミリー・バゼロン著、高橋由紀子訳)
髪形を変えたら学校でいじめられ、会員制交流サイト(SNS)
でも攻撃されたモニーク。ゲイであることをSNSで公表していじめを受け、対処しない学校を相手に訴訟を起こしたジェイコブ。女子高生を自殺に追い込んだ罪で刑事告訴され、ネット上でも非難にさらされたフラナリー。
米国の中高生3人が遭遇した事例を軸に、SNSを使いこなす子どもたちに生じている新たないじめの実態を、本書はあばいていく。著者自身も10代のころにいじめを受けたジャーナリストだ。
マスコミが報じなかった点も丁寧に取材し、家族や学校、コミュニティーが演じた役割をつぶさに明らかにした。ネットいじめに積極的に介入せず保身に走る学校、わが子の非を認めない加害者の親、先入観をもって捜査にあたる検察。大人たちの不適切な対応が問題をこじらせることがよくわかる。加害者とされた子どもの言い分を紹介しているのも貴重だ。
さらに特筆すべきは、米国のティーン2千万人が参加する巨大SNS、フェイスブック(FB)本社への取材。許可を得るのに6カ月かかったという。同社にはFB上での問題の指摘が週200万件もあり、大半が10代のいじめなどの訴えというが、対処態勢は意外に貧弱だ。低年齢の子どもに登録させない仕組みも不十分で、子どもの保護よりも社の利益を優先したような姿勢を批判する。
もっともネットやスマートフォン自体がいじめを生み出すわけではない。「ネットいじめは現実世界の延長」というのが、本書の根底に流れる主張だ。では現実のいじめをなくすにはどうすればよいか。著者は、ノルウェーで開発されたいじめ防止プログラムを取り入れた学校など、うまく解決された事例を豊富に紹介する。子どもや親、学校へ向け、具体的な対策もアドバイスしている。
無料通信アプリLINE(ライン)などでのいじめが深刻化するわが国にも大いに参考になる内容だ。
(渡辺真由子・メディアジャーナリスト)
<追伸>
その後、共同通信から
「お陰さまで、沢山の加盟紙が掲載しています」
と連絡が。
全国の新聞約30紙に掲載された模様。
掲載紙がドドンと届きました!
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