2009年7月13日月曜日

「となりの芝生」とネットいじめ講演

TBSドラマ「となりの芝生」が始まった。
姑・泉ピン子が、同居する嫁・瀬戸朝香をいびる物語。
脚本はもちろん、橋田壽賀子氏である。
33年前に放送した同名のドラマを
現代風の脚本にアレンジして再び放送するというのだから、
嫁姑問題は永遠のテーマなのだ。橋田氏にとって。



私にはこのドラマは、
姑の酷いいびりに苦しめられる可哀想な嫁、
という体裁をとっておきながら
その実は、橋田氏による
「『理想の嫁』教育ドラマ」に思えてならない。



瀬戸朝香は、姑に対して
バカ丁寧なくらいの敬語を使う。
夫に対してまで敬語で話す (夫は妻にタメ口である)。
家の中を毎日のように拭き掃除し、テレビを見ている姑や
新聞を読んでいる夫にお茶を出す
(夫が家事をする場面は全くない)。
瀬戸は、家事や子育てにうるさく口を出す姑への不満を
唯一気が許せる相手である自分の母にぶちまけるのだが、
逆に「嫁とはそういうものよ。あんたが『未熟』なのよ」と
諌められてしまう。
夫も姑の肩を持ち、姑と仲良くできないのは
瀬戸が悪いからだと責め立てる。



まさに「嫁かくあるべし」という
大正生まれの橋田氏からのメッセージを
ひしひしと感じる。



極めつけは、瀬戸に
「私はこの家に嫁に来た身ですから
(お義母さま何なりと言いつけて下さい)」
という台詞を言わせること。

あのですね、女性が結婚したら夫の家の戸籍に入る
という制度は、明治時代の旧民法下のものだ。
現在の民法では、結婚は「家」同士によるものではなく、
2人の「個人」が新しく戸籍を作るものと定められている
(だから「入籍」という言い方も誤り)。
よって、女性は結婚したとしても
「夫の家へ嫁に行った」わけではないのだ。
もちろん男性も、長男であっても自分の家から出て、
妻と新しい戸籍を作ることになっている。



上記のような誤った台詞をドラマに盛り込むと、
あたかもそれが正しいかのような誤解を
視聴者に与える恐れがある。
実際未だに、「ウチの娘は○○家に嫁ぎまして」
といった言い方をする人は多い。
このような誤解を
メディアを通して世間に浸透させた「立役者」は、
橋田氏と細木数子氏であると私は考えている。



そうそう、このドラマの公式HPには
視聴者が家族への不満を書き込む掲示板があるが、
姑と夫に対する嫁の本音で埋まっておりますな。








メディアとジェンダーの問題を知るには↓








オトナのメディア・リテラシー 
第二部 「そもそも、言葉づかいを疑おう」


著者:渡辺 真由子



オトナのメディア・リテラシー







ところで先日、
栃木県那須塩原市教育委員会主催の
講演会で、
「携帯・ネット犯罪の現状と大人の役割」について
お話した。
地元のPTAの方々などの問題意識が高いようで、
800人以上が参加された。

来週は1日おきに講演で全国各地へ飛ぶ、
尋常ならざるスケジュールである。
ローヤルゼリーのサプリメントを飲んで
頑張らせて頂きます。



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