私が代表を務めるシンクタンク『メディアと人権研究所MAYUMEDIA』が先日公表した、性的広告をめぐる研究結果について、報告を兼ねた勉強会が開催された。
「性的広告はなぜ法規制されない? ~子どもを『性の対象化』から守るために~」をテーマに、以下のポイントをお話:
・性的広告の定義
・性的コミック広告と法律
・「児童ポルノ禁止法」国会審議の実態
・国による対策と課題
聴講者のご感想など、詳しくはこちらをどうぞ。
「性的広告はなぜ法規制されない? ~子どもを『性の対象化』から守るために~」をテーマに、以下のポイントをお話:
・性的広告の定義
・性的コミック広告と法律
・「児童ポルノ禁止法」国会審議の実態
・国による対策と課題
聴講者のご感想など、詳しくはこちらをどうぞ。
性的な描写を伴う広告がネット上に蔓延し、問題となっている。
子どもを性の対象として扱う表現も目立ち、「児童性的虐待コンテンツ」であるとして、今年に入り国会でも議論になった。
こども家庭庁は、「法制上の対応の必要性の有無などを含めて、司令塔機能を果たしたい」とする。
性的広告の多くは、コミックやゲームなどの創作物だ。日本は「創作物の性表現」について、規制のあり方を正面から議論してこなかったため、いまになって対応に追われている。
▶児童性的虐待表現物(CSAM)と表現の自由に関する論文はこちら
▶性的有害情報の影響に関する科学的データはこちら
ところで、メディア・リテラシー先進国のカナダでは、広告の読み解き方に関する研究・教育が20年以上前から行われている。
今回は、私がカナダの大学で受講した、広告分析の授業をレポートしよう。
ほぼ全裸の女性がニッコリ笑って立っている写真を、教室のスクリーンが映し出す。写真は広告だが、何を売ろうとしているのか一目ではわからない。
彼女のかろうじて一部が隠されているだけの体から手元へと目をやると、酒瓶を持っている。どうやら酒の広告らしい。
しかし女性がほぼ全裸なのとはどう関係があるのか。教授が生徒たちに尋ねる。「なぜ女性の体がこんな風に使われているのだと思う?」。
これは、私が学んでいる広告分析の授業だ。メディア・リテラシー教育が盛んなカナダでは、広告は最も身近かつ社会的影響力が大きいメディアとして、頻繁に題材に取り上げられている。
中でも広告で描かれる女性像と男性像に関する研究は、日本の広告にもそのまま当てはまるのでご紹介しよう。この描かれ方には以下のような傾向があるとされる。
①女性は家事をし、男性は外で働いている
②高級な買い物(家や車など)の決定権は男性が持つ
③男性は女性に頼られる
④女性は性的な対象である
―ほら、あなたも身の回りの広告で思い当たるフシがあるでしょう。商品と無関係に女性の体を使う冒頭のような広告はもちろん④である。
今回はこの、女性を性的な対象として描く手法に注目してみたい。裏を読み解くと結構なクセモノなのだ。
例えばあまりにも身近なダイエットの広告。スリムでナイスバディなお姉さんたちが、「痩せて自信がついた」「彼氏が出来た」などと声高に主張していますね。これは、太目の女性に対して「あなたは自信を持つべきではない」「男性に愛されるはずはない」と言っているのと同じだ。
また、この季節に大量に見かけるムダ毛のお手入れや制汗スプレーの広告。毛や臭いがあったらオンナじゃない、とばかりに世の女性たちに迫ってくる。これらの広告は繰り返し訴えかけることで、均整のとれたプロポーション、すべすべ肌、無臭といった女性像が“標準”であると思い込ませ、そこから外れた女性たちの不安を煽り立てるのだ。
その結果、女性が無理なムダ毛処理で肌を痛めたり、摂食障害にすら陥ったりする深刻な事態が起きている。
一方、こうした広告で男性向けというのはどれだけあるか。近年徐々に男性向けの脱毛や制汗の広告も目立ってきたが、また大半は女性向けという印象だ。男性にも太目の人はたくさんいるし、ムダ毛の量や汗の臭いに至っては女性を上回っているにも関わらず、である。
なぜ女性ばかりがターゲットにされるのだろうか? 研究者は、広告が「男性の視点」で作られているためと指摘する。つまり、男性の目から見たセクシーな理想的女性像に近づくよう、広告が女性たちを誘導しているのだ。
なんと、こうして女性をコントロールすることで、男性が女性を支配する家父長制社会の維持につなげているという。ちょっと、コワいではないか。
その表現の一部を掘り下げるだけでも、広告の背後には複雑な思惑が潜んでいるのだ。あなたも今日から広告を「あんたの狙い通りには流されないもんね、へへん」という目で見てみよう。ウロコが落ちるかもしれません。
(初出:スペースアルク、2005)
☆画像は、広告分析のクラスで友人と。我ながら若い。
【参考文献】
『オトナのメディア・リテラシー』
渡辺真由子著
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ご報告が遅くなったが、都内で開かれた消費者イベントにて講演を務めた。
「消費者のメディア・リテラシー」がテーマ。
主催は、足立区消費者センター。
こちらでは以前にも同テーマで講演を務めており、当時参加された消費者団体の方々から、「また聞きたい」と強い要望があったという。恐れ入ります。
テレビやインターネット、SNSなどにみられる「広告」の読み解き方(リテラシー)を学び、メディアに惑わされない賢い消費者になろう、というのが今回の趣旨。
・「メディア・リテラシー」とは?
さて10月下旬には、労働者福祉中央協議会(中央労福協)のシンポジウム「女性のひろば」にて、講演を務めた。
中央労福協は連合の関係団体で、全国の福祉事業団体、労働団体等で構成されている。本シンポジウムのテーマは『メディア・リテラシーとアンコンシャス・バイアス』。
「性別役割分担意識を誰しも持っている可能性があり、日常的に目にするメディアとジェンダーの関連について意識することで、今後の加盟団体・労福協における女性役員の取り組みの一助としたい」との趣旨である。
全国の加盟団体から、女性役職員の方々が参加された。
講演では、
『メディアと人権 ~ジェンダーの視点から』と題し、
以下の内容をお話:
参加者の皆さまからは、多数のご感想を頂いた:
●アンコンシャス・バイアスについての講演をいくつか受講しましたが、今回は講師のご経験からのお話で大変面白かったです。
●メディア・リテラシーの表面的な勉強は多方面にてしていたつもりでしたが、実際に日常生活で入ってきている内容を事例に出してくださり、より日常に落とし込んだ学びができました。
●メディア・リテラシーから生き方まで、多くの気づきがありました。
●普段の生活の中で、バイアスだと気付いていないことがたくさんあるんだと知ることができました。メディアが発信する価値観ではなく、自分の価値観を大切にしていきたいと思います。
●ジェンダーについて理解を深めることができた。ぜひ男性にも受講してほしいです。
●目からウロコでした。
……などなど、他にも沢山のお声が。
開催レポートはこちらでお読み頂ける。
お世話になった皆さま、ありがとうございました!
なお、ジェンダーとアンコンシャス・バイアスに関する私の研修・監修・アドバイスについては、詳細を下記サイト『めざせジェンダー解放!アンコンシャス・バイアスをぶっ飛ばす』でご案内している。
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