2025年6月30日月曜日

カナダのドラッグ汚染と独自対策

 

「フェンタニル」という合成麻薬を、中国組織がアメリカへ不正に輸出するにあたり、日本に拠点をつくっていた疑いが今月報じられ、衝撃が広がっている。

フェンタニルとは、 ヘロインの50倍の作用があるともいわれ、人類史上最も危険な薬物の一つとされる。

このフェンタニルが以前から流通し、深刻な被害が広がっているのが、カナダのバンクーバーにある「北米最大の麻薬汚染地域」と呼ばれるエリア。ダウンタウンの繁華街にほど近い、ヘイスティングス通りだ。

私がバンクーバーに留学した約20年前、その通りの麻薬汚染ぶりは既に問題となっていた。私も間違えて足を踏み入れ、超高速で通り抜けた経験がある。今回は、当時のバンクーバーのドラッグ事情をめぐるレポートを、緊急公開しよう:

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【カナダのドラッグ汚染と独自対策】 

留学をスタートさせた当初のこと。ある日の夜中、キャンパスを突っ切って寮へと家路を急いでいると、向こうからガヤガヤとわめきながら学生の集団がやって来た。すれ違った瞬間、嗅いだことのない匂いがぷ~ん。何これ?と思ったら、一緒にいた友達が「マリファナだよ」と言う。近くのパブかどこかで、吸ってきたらしい。

その時のショックはいまも覚えている。カナダのトップ大学の学生が、堂々とドラッグをやっているなんて!

だが、カナダではマリファナはタバコ感覚で吸われているという。マリファナの使用は違法にも関わらず、警察が厳しく取り締まらないため、合法と思い込んでいる人も少なくない。マリファナの合法化を進めようとしている政党、その名も「マリファナ党」まで存在するから驚きだ。マリファナに対するカナダの “寛容な” 姿勢は、昔この地に栄えたヒッピー文化の名残だという説もある。

さらに深刻なのは、コカインやヘロインといった麻薬の広がりだ。バンクーバーのダウンタウンには、観光地と隣り合わせの一角に、浮浪者がたむろす通りがある。ほとんどは麻薬中毒者と見られ、白昼から麻薬の使用や売買が公然と行われていたり、道端に注射針が転がっていたり……<続きを読む>







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2025年6月16日月曜日

芝浦工大附属高で「性的ディープフェイク」講演(生徒向け)

 

芝浦工業大学附属高校で、ネット・リテラシーがテーマの講演を務めた。

対象は、1年生の生徒約220人。

中学から高校に上がってきたこの時期、ネット・SNS利用に関して、特に高校生が注意すべき点を話してほしい」
とのご依頼であった。

内容は一任頂いたので、
『ネットと恋愛と人権〜リスペクトしあうネット・リテラシー』という題名に。

生成AIの普及に伴い、子どもも加害者・被害者になっている「性的ディープフェイク」問題のほか、リベンジポルノや自画撮り被害、グルーミング、性的同意についてお話した。
 
全体の流れは以下の通り: 

●ネット・SNSがトラブルを招きやすい理由
●対策キーワード:
「ネット・SNSリテラシー」とは?
●2大恋愛トラブルの現状とリテラシー
1.性的画像をめぐるトラブル
2.メディア情報の誤解
●被害にあってしまったら

参加した生徒のうち、男子の数は女子の倍以上。
「性的画像などの被害には男子も遭う」と話すと、
驚きの声がザワザワと。

そう、自分は男だからと油断できないのです。
 

ところで私は何を隠そう生粋の文系女子で、
理系のこちらの学校とは接点がないはず。
なぜ今回、お声かけを頂いたのだろうか。

「チャットGPTにお薦めしてもらいました!」
と担当者の方。

なんと、そういう用途にもAIを使うとは、さすが理系です。

それにしてもチャットGPT、隅に置けませんな。

 

【参考文献】 

性的ディープフェイクや性的同意と、メディア情報の関係についてはこちら: 

「メディアの性情報と性情報リテラシー® ~この10年で変わったこと、変わらないこと~」渡辺真由子 『現代性教育研究ジャーナル』(日本性教育協会)2025年3月号

 

 

 
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%AA%E3%83%99%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%83%8E%E2%80%95%E6%80%A7%E3%82%92%E6%8B%A1%E6%95%A3%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E8%8B%A5%E8%80%85%E3%81%9F%E3%81%A1-%E6%B8%A1%E8%BE%BA-%E7%9C%9F%E7%94%B1%E5%AD%90/dp/4335551754/ref=as_sl_pc_tf_mfw?&linkCode=wey&tag=mediaw-22 『リベンジポルノ~性を拡散される若者たち~』(渡辺真由子著、弘文堂)
 
 

 

 

 

 

 





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2025年6月11日水曜日

AI時代の性的ディープフェイクと児童ポルノ禁止法

 

しばらくスイスに滞在しており、片道16時間のフライトでヘロヘロになって帰国したが、ジャパンのあなたはお元気だろうか(画像は、雲の合間からついに姿を現したマッターホルン)。

 

 【児童ポルノ禁止法は、創作児童ポルノにも適用可能】

さて、生成AI(人工知能)を悪用し、実在する子ども等を性的に加工して創作した画像や動画、いわゆる「性的ディープフェイク」が世界的に深刻化している。

各国では法規制が進むが、日本は2025年5月に成立させたAI法(人工知能関連技術の研究開発および活用の推進に関する法律)で、直接的な規制を盛り込まなかった。

児童を保護する法律として、日本には既に児童ポルノ禁止法が存在する。だが、AIによる創作物である性的ディープフェイクに対しては、処罰が困難との声があった。

実在しない子どもを性的に描くマンガやアニメ、ゲーム等の創作物(「創作児童ポルノ」)を、同法は処罰の対象外としている、とみられてきたためである。

しかしながら私の研究によれば、児童ポルノ禁止法も現行の枠組みのまま、創作児童ポルノ規制にも適用が可能である。その実現は、同法の運用次第であると考えられる。

もっとも、判例は構成要件に「実在の児童」であることを要すると解釈している等の理由から、運用の拡張には困難が伴う可能性もある。

その場合は同法を改正することにより、犯罪の構成要件に「実在しない児童」も含めるとの選択肢もあり得る。

 【規制反対の「トライアングル連携」とは?】

AI時代のいま、わが国における児童ポルノ規制に必要なのは、視点の変革である。 

日本では、創作児童ポルノ規制をめぐる立法過程の議論や学説において、子どもの人権よりも「表現の自由」を優先させる視点が支配的であることが、本研究で明らかになった。

その視点は立法関係者、業界団体、学説の「トライアングル連携」によって維持され、「規制反対ありき」との概念の中で議論が行われてきた。一方、国際条約では……⇒詳細

 

☆本研究の概要版はこちら:

渡辺真由子(2025)「AI時代の性的ディープフェイクと児童ポルノ禁止法」メディアと人権ジャーナル』Vol.2 No.1  

なお、研究の全体版の一部については、noteで連載を開始している。

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