2012年8月21日火曜日

八戸市でメディア・リテラシー講演

青森県八戸市が主催する、学校教育関係者向け研修会にて
講演を行った。
「男女共同参画の視点とメディア・リテラシー」がテーマ。



メディア・リテラシーの基本的な理論や、
メディアが発信する情報に「さりげなく」盛り込まれるジェンダー表現について
お話した。



男女共同参画社会を推進する上で、
子どもに接する教員たちのジェンダー意識を高めることが重要と、
八戸市はこのテーマを企画したという。



参加者からは
「メディアから受ける影響の大きさを認識した」
「メディアの発する情報を客観的に捉えることの大切さに気付いた」
「メディア・リテラシーの重要性を改めて実感した」
などの感想が寄せられた。



ちなみに今回の講演、八戸市は
私が過去に講演を務めた地方自治体を通して
依頼してこられた。



実は最近、「他の自治体からの紹介」という形で
連絡を頂くケースが非常に多い。



光栄だが、
地方自治体同士ってライバル関係ではないんですねえ。



そうそう、滞在中に舌鼓を打ったのが
水揚げ日本一を誇るイカや、味噌たっぷりの平ガニ、濃厚なウニ。



なかでもイカは旨味が凝縮され、噛みごたえがあり、
ん~、美味しゅうございました。

そんな八戸市のゆるキャラはその名も「いかずきんズ」。
なにやら類いまれなるセンスを感じます。






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2012年8月16日木曜日

子どもたちへ3.いじめている人へ

*いじめの傍観者被害者、加害者へ向けたメッセージの完結編。
  出典は拙著 『大人が知らない ネットいじめの真実』

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>1.友人を守るために >2.いじめられている人へ





3.いじめている人へ



誰かをいじめているあなた。「いじめはいけません」と学校で散々習っただろうから、自分がやっていることは悪いことだと、頭ではわかっているはずだ。それでもいじめてしまうのは、なぜなのだろうか。



 「あいつはウザいから」「キモいから」、いじめてもいいんだと思うかもしれない。だがそれは、あなたの主観による勝手な判断だ。その人の親は、その人のことをウザいなんて思っていない。赤ん坊の頃から大切に育ててきた、「愛しい」存在だ。



その人は、あなたにウザいと思われるためにそういう言動をとっているわけではない。「ウザい」と思い込むことで、あなたは自分のいじめ行為を正当化したいのだろう。だが、どんな外見や性格も、その人の個性に過ぎない。だから、いじめる理由にはならないのだ。そもそも人間には誰にも、他人をいじめる権利がない。



例えば誰かの性格のある部分を、あなたは「嫌だ」と思うとする。もしその性格が、将来犯罪行為につながりかねないような問題のあるものだったら、先生や親が指導するだろう。あなたがでしゃばる必要はない。もし、その性格のせいでその人とはどうしても仲良くできないというのなら、口頭で柔らかく注意してみよう。でも、性格を変えるかどうかは、あくまでその人が決めることだ。あなたの思い通りにその人が変わってくれなかったからといって、仲間外れにしたりネットに悪口を書き込んだりしてはいけない。「注意」と「制裁」は別ものだ。制裁は「いじめ」であり、あなたにそんなことをする権利はない。



人間は一人一人違って当たり前。自分とは違うその人を認め、その人にもあなたを認めてもらおう。



いじめ行為は、あなたにどんな感情をもたらすだろうか。



人が苦しむのを見ると面白い? 気分がスカッとする? 



そんなふうに思うのであれば、あなたの心は、何らかの不満を抱えている。あなたは、いじめをすることによって相手よりも自分が上だと優越感に浸ったり、ストレスを発散したりしている。裏返せば、それだけ自分に自信がなく、ストレスを溜めているということだ。



そのストレスの原因は何だろう。自分の心に問いかけてみて欲しい。 などの身近な大人に愛されている実感はあるだろうか。「いい子」でいることに疲れていないか。誰かに嫌な目に遭わされていないか。



 そう、いじめをしてしまうあなたも、実は被害者なのである。ストレスに押しつぶされそうになっている現在の環境から抜け出す方法を、ここで考えよう。



 まず、あなたがいくら辛くても、他人をいじめていいわけはない。そのいじめ行為が一時的なものであったとしても、相手の心に一生にわたる傷を残す可能性がある。いじめを受けている人は勉強が手につかなくなり、成績が落ちる。食欲がわかない、眠れない、うつ状態になる、といった症状に苦しむ。ひどいときは不登校になったり、転校をしたりせざるを得なくなる。最悪の場合は命を絶つかもしれない。



 あなたがいじめを止めても、その人は簡単には回復しない。一時期受けたいじめのせいで対人恐怖や人間不信に陥り、就職してもうまく人間関係を築けず、引きこもりになってしまうこともある。あなたが軽い冗談のつもりでやったいじめが、その人の人生を狂わせるかもしれないのだ。あなたに責任がとれるのだろうか。



さらに最近は、過去にいじめられた経験を持つ少年が、無差別殺人などに手を染めるケースも発生している。いじめられた恨みは、それほど深いのだ。



あなたの辛さは、あなた自身と、その原因を作った人、身近な大人とで解決していく必要がある。全く関係ない他人を巻き込んで、ムシャクシャする気持ちのはけ口にしてはならない。



そして、周りに信頼できる大人がいるか見渡してみよう。あなたは親とうまくいっておらず、「親は自分のことをわかってくれない」と悩んでいるかもしれない。そんなときは、思い切って親にその思いをぶつけてみる。口に出して言ってみる。親だって、あなたが何を考えているのかよくわからなくて、上手に接することが出来ずにいるのかもしれないのだ。それでも改善されないのなら、先生や身近な大人に相談してみよう。大人たちの話し合いで解決する問題もあるし、状況次第では、専門機関の手も借りるかもしれない。



親以外の人から嫌な目に遭ったときは、出来るだけ親に伝えよう。遠慮することはない。親はいつだって、あなたに何でも打ち明けてほしいと思っている。



親に言う心の準備がまだ整っていないのであれば、前項「いじめられている人へ」で紹介したように、電話相談やネットで気持ちを吐き出してみるといい。誰にも言えない悩みでも、例えばブログなどに書くことで、心の中が整理される。相談に乗ってくれる人も現れるかもしれない。



 いじめ行為の重さに気づいたら、もう自分を責めるのは止そう。誰かを傷付けたい、という心があなたに育ったのは、あなたに辛い思いをさせた大人の責任だ。いじめっ子というレッテルを貼られた者を大人はただ叱り付けるだけで、その悩みに気づこうとしない。だからこそ、声を上げよう。いじめをしてしまう自分の心の奥にある淋しさや苦しさを、誰かに伝えよう。



新たに誰かをいじめる前に、あなたは、救済されねばならない。





>1.友人を守るために >2.いじめられている人へ



1



出典:
 渡辺真由子 著

 
『大人が知らない ネットいじめの真実』



 



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2012年8月7日火曜日

子どもたちへ2.いじめられている人へ

*出典は拙著 『大人が知らない ネットいじめの真実』
既に読まれた教員の方からは、「道徳の授業で使いたい」等の御連絡を頂いている。
新たに引用されたい方も、ご一報下されば幸いである。
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>1.友人を守るために <3.いじめている人へ



 



2.いじめられている人へ



いじめを受けているあなたは、苦しい日々を過ごしていることだろう。自分の性格や外見がこうだからいじめられるのだと、自分を責めているかもしれない。



 だが、あなたは全く悪くない。いじめが起きる責任は、いじめられる側にではなく、いじめる側にある。あなたがどんなことをしたとしても、あなたの家庭環境がどうであっても、いじめられていい理由にはならない。あなたは人間として、健康的な生活を営み、差別をされない「権利」を持っている。その権利を侵そうとする、いじめっ子の方が悪いのだ。



 いじめる人は、あなたを困らせて楽しんでいるだろう。ストレスを発散しているだろう。なぜ彼女ら彼らは、そのようなことをするのだろうか。



いじめる人の心は、病んでいるのだ。家庭で親とうまくいっていなかったり、別の人からいじめられていたり、無理やり勉強をさせられていたりして。いじめる人は本当は自分に自信がないので、誰かを見下すことで優越感を得たいと望んでいる。だから、いじめをするのだ。自分の不満を吐き出すために誰かを犠牲にせずにはいられない、可哀想な人たちだ。



そうは言ってもあなたとしては、加害者のストレスのはけ口にされるなんて、たまったものではない。出来れば、「これはいじめだ」と気づいた段階で、先生と親に報告しよう。あなたは悪くないのだから、堂々としていればいい。ネットいじめにしろ、実生活でのいじめにしろ同じだ。自分がいじめに遭っているのを知られることは、恥ずかしいだろうか。いじめを受けることを恥ずかしく思う必要はない。相手の辛さを思いやれずにいじめをすることこそが、人間として未熟で、恥ずかしいことなのだ。先生や親に告げれば「チクッたな」と報復されるのが心配だろうか。報復されたら、それをまた信頼できる大人に知らせればいい。大人には知恵があるから、何とかしてくれるはずだ。



特に、親など最も近くにいる大人は  、いつでも子どもの力になりたいと思っている。あなたは身近な大人に心配をかけたくなくて黙っているのかもしれないが、その人はあなたに作り笑いをされるよりも、悩みを打ち明けてもらう方がずっと嬉しい。守ってやりたいから。



どうしてもまだ先生や親には言いたくないというときは、電話相談を利用してみよう。名前を言う必要はなく、秘密厳守であなたの話を聞いてくれる。また、こんなときこそ匿名で使えるインターネットが役に立つ。いじめられている人のための相談掲示板が色々ある。あなたと同じような体験をした人から、アドバイスがもらえるかもしれない。そうやって、自分の悩みを言葉にして外に出して、誰かと共有しよう。一人で抱え込んでしまうと、心と体がそのうち悲鳴を上げる。



いじめを受けていると、学校生活は針のむしろに座っているようなものだろう。これを逃れる方法は二つある。一つは、ひたすら耐えること。冗談じゃない、と思うかもしれないが、日本人の平均寿命は約八十年。いじめに苦しむのは、長い人生の中のわずかな期間だ。加害者はいずれ、あなたをいじめるのに飽きる。そうでなくとも、学校を卒業すればおさらばすることが出来る。いじめられる立場になったことで、あなたは「心の痛み」を知った。自分がどのような言動をとれば、相手をどんな風に傷付けてしまうのか、想像できるようになっただろう。辛い思いをした者は、そのぶん他人に優しくできる。このいじめは、あなたがより心の豊かな人間に成長するためのトレーニングなのだ。トレーニングに耐え抜いた経験は、これからあなたが先の長い人生で多くの人に出会い、仕事をし、家庭をつくるなかで必ず役に立つ。だからいまは息を潜めて、嵐が過ぎ去るのを待とう。



だが、いじめの内容がちょっとやそっとの我慢でやり過ごせるものではなく、とにかく加害者にはもう会いたくないと、あなたは思っているかもしれない。度を過ぎたいじめの被害は、あなたの心身に長期的な影響を及ぼし、今後の人生をも狂わせてしまう。この場合は、速やかに避難した方がいい。つまり、学校へ行くのを止めるのだ。



学校を安全な場所にするのは先生たちの責任で、加害者にいじめを止めさせるのはその親の責任だ。いじめる人の心の病が治るまで、あなたは学校へ行く必要はない。勉強は自宅での通信教育や家庭教師、不登校者向けのフリースクールなど、様々な形で出来る。親は心配するだろうが、学校へ行っていじめられ続ける方が、よほど勉強に集中できない。



そして、いじめられた悔しさを勉強にぶつけよう 。自分に自信をつけるためと、地元から脱出するためだ。日本の社会は何だかんだ言っても、成績が良い者に有利な仕組みになっている。レベルが高い学校へ進んで、いじめた人を見返すのだ。遠方の学校を選べば、加害者から逃れることも出来る。進学が経済的に苦しい場合でも、成績が良ければ奨学金が出る。



注意しておくが、「死にたい」と思うぐらい辛くても、自ら命を絶つのは避けること。そんなことをしたら加害者の思うツボだ。いじめる人は、相手をコントロールすることに快感を味わう。自分の影響力がどれだけ強いかを、確かめたがっている。もし相手が自分のいじめのために死んでくれたら、それこそ最高の影響ではないか。



「加害者の名前を遺書に書いて自殺したら、懲らしめてやれるかもしれない。反省してくれるかもしれない」



と、あなたは淡い期待を抱くだろうか。だが、いじめ自殺事件の多くで、加害者に反省の態度は見られない。森啓祐さんが自殺したとき、加害少年たちは「あいつ死んで、せいせいした」と口にし、笑いながら棺の中を覗き込んだ。さらに啓祐さんの自殺後も、他の生徒にいじめを繰り返したという。古賀洵作さんをいじめ自殺に追い込んだ加害少年たちのほとんどは、事件直後に遺族へ謝罪することはなく、線香一本上げにも来なかった。少年院を半年で出た後は、夜の街をバイクで暴走していた。いじめ自殺事件の裁判は全国で起きているが、加害者側の大半はいじめの事実を否定し、謝罪を拒み、遺族側と争う。



 あなたが自ら命を絶てば、いじめる人を喜ばせるだけだ。代わりに、家族や親戚、友人など、あなたの大切な人たちを一生悲しませることになる。その選択は、得策ではない。





>1.友人を守るために <3.いじめている人へ



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出典:
 渡辺真由子 著

 
『大人が知らない ネットいじめの真実』



 



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