2025年3月21日金曜日

性教育政策とメディア・リテラシー(寄稿)

 
『現代性教育研究ジャーナル』(日本性教育協会)3月号の巻頭テーマは「性情報リテラシー®の10年」。
 
「メディアの性情報と性情報リテラシー® ~この10年で変わったこと、変わらないこと~」
と題して寄稿した。

性教育の本質とは、性暴力を防ぎ、誰もが "幸せな性" を享受できるようにするための「人権教育」であると、私は考える。

性暴力を引き起こす要因の一つが、メディアの性情報が伝達する「メッセージや価値観」にあることは、私のこれまでの取材・研究から明らかだ。
 
こうした現状への対策として、性情報に対するメディア・リテラシー、すなわち「性情報リテラシー®」を育む必要がある。
性情報リテラシー® とは、「メディアが発信する “性に関する情報” を鵜呑みにせず、批判的に読み解く能力」と考えてもらえばいい。
 
では、10 年が経過するなかで、メディアの性情報と性情報リテラシー® をめぐり、変わったこと、変わらないことは何だろうか。

性情報については、関連が疑われる性犯罪や性的トラブルが多発したことに加え、AI(人工知能)の発達による新たな問題が噴出した。まさに激変の10 年といえる。
 
本稿は、この10年の主な性犯罪や性的トラブルと、性情報との関連性を読み解いた:
 
2014 札幌小3女児監禁事件
2016 埼玉女子中学生わいせつ事件
2016 ~ 2022 大阪小学生女児10 人性的暴行事件
2021 千葉不動産女性強制性交等致傷事件
2022 滋賀医大生3人強制性交等容疑で逮捕
2023 ジャニーズ性加害問題をイギリスBBC が報道
2023 DJ SODA 氏が音楽フェスで性被害
2023 著名芸人の性加害疑惑報道
2024  著名タレントの性的トラブルとフジテレビ問題
2024 生成AI によるポルノ被害の深刻化
 
 
また、性情報リテラシー® の教育や法整備についても、この10年の動きを整理した。
国レベルでの政策は、遅々として進んでいないことがわかる。
 
ご関心のある方はこちらからご一読を。
 

【参考文献】
「性情報をめぐるデジタル・シティズンシップ教育の展望」The Landscape of Digital Citizenship Education about Sexual Information(『メディア情報リテラシー研究』1(2)、法政大学図書館司書課程、2020年)
 

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2025年3月10日月曜日

「子どもとSNSトラブル」講演(大人向け)

 

ご報告が遅れたが今年2月、
子どもとSNSトラブル〜大人が学ぶ インターネットとの付き合い方~」と題して、講演を務めた。

日光市人権講演会・人権教育指導者研修会にて。

主催は日光市教育委員会ほか。
共催は放送大学。


SNSの急速な普及により、子どもたちの生活に新しい問題が生じている。

「なぜネットはトラブルを招きやすいのか?」
その回答と共に、親として知っておくべき「ネット・SNSリテラシー」とは何かを学ぼう、という趣旨であった。

保護者や教育関係者に加え、議員の方々もご参加。

ネット・SNSがトラブルを招きやすい理由
対策キーワード: 「ネット・SNSリテラシー」とは?
3大トラブルの現状とリテラシー

 ①ネットいじめ

 ②個人情報の流出

 ③リベンジポルノ・自画撮り被害

  ☆性的トラブルとジェンダー

被害にあってしまったら

……といった内容をお話。

 

今回は、「女性活躍」についても触れてほしいとのご要望を頂いた。
女性活躍とはすなわち、女性のみならず男性の「ジェンダー解放」であると私は考えている。
このため、子ども間のSNSに関する性的トラブルと、ジェンダーの関係についても解説。

春休みに入るお子さんも気をつけてね。

 

会場との質疑応答も活発で、なかには

「諸外国のように、日本の子どもにもSNS規制が必要でしょうか?」

とのご質問も。

私は、SNSの全面禁止まではしなくてよい、との立場だが、
「性・暴力表現」については、一定の制限が必要だと考えている(性・暴力表現の影響に関する科学的データはこちら)。

 

・学校で、子どもたちと一緒に聞く内容より、より詳しく聞けた。対策、対応をわかりやすく教えて頂き、とても良かった。

・非常にテーマの内容に切り込んでいて、1つ1つの情報が新鮮に感じられました。周りの人もすべて関わる問題であり、今日知ったことは伝えたいと思いました。

・取材に基く具体的事例を挙げながらのお話で、リアリティがあり、身近な問題として考えることができた。

・とても聴きやすく、内容を理解しやすかった。単なる情報モラル・ネットリテラシーのみでなく、人権の視点が散りばめられていた。

・SNSトラブルについて、よく理解できたので良かった。

……等々、ご感想が寄せられた。 

「たくさんの課題を頂きました」と、関係者の方々。

「ジェンダーのアンコンシャス・バイアスを啓発していきたい」との声も。

お世話になった皆さま、ありがとうございました!







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