2015年6月26日金曜日

元少年A(神戸連続児童殺傷事件)の手記『絶歌』を読む(寄稿)

ニュースサイト「Japan In-depth」に寄稿しました:

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【「少年A」が語らなかったこと】

~誰がなぜ、彼を「受け入れなかったのか」~



「答え」をずっと探していた。
1997年に神戸連続児童殺傷事件を起こした元少年Aによる手記、
『絶歌』(太田出版)を読みながらのことだ。
当時14歳の中学3年生だったAは、なぜ犯 罪の道へと足を踏み入れたのか。
この世にオギャアと生まれ落ちた時から犯罪者だった者などいない。
本手記をめぐっては、
遺族への対応などの面で様々に批判 が巻き起こっているが、
犯罪者が「出来あがる」原因の究明につながるのであれば
社会で共有する意義はある。
そう思いながら読み進め……<続きを読む>






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2015年6月15日月曜日

「性情報リテラシー」とは何か

「性情報リテラシー」とは、
私が2012年に発案し、提唱している新たな知の分野である。

性情報とメディア・リテラシーを掛け合わせたもの。
すなわち、
“メディアが発信する「性に関する情報」を
批判的に読み解く能力”
を指す。

この性情報リテラシーについて、最近は
性教育はもちろんのこと、デートDVやジェンダーの観点からも
関心をお寄せ頂くことが増えてきた。

そこで、
性情報リテラシーがいま必要とされる背景を
改めて解説しよう:


【なぜいま「性情報リテラシー」なのか】


「日本人の性生活満足度は15%で、世界最下位」
コンドーム・メーカーのデュレックス社が2007年、世界26ヵ国を対象に行なった衝撃の調査結果である。日本人の実に8割以上が、配偶者や恋人との性的コミュニケーションに不満を抱いている実態が明らかになった。

この状況はいまに始まったことではない。さらに遡ること8年の1999年、NHKが日本の40歳代から60歳代の中高年カップルに実施した調査によると、性生活に満足している割合は男性が約8割に上るのに対し、女性は約6割に過ぎない。性生活を「快楽」だとする割合も、男性は4割だが女性は1割のみ。中高年の女性と男性の間では、性生活をめぐる感じ方のズレが広がりつつある。人生のあらゆる面でベテランの域に達する彼ら彼女らが、なぜお粗末な性的コミュニケーションに甘んじなければならないのか。これでは熟年離婚が増えるのも無理はない。

AV、ネットのアダルトサイト、美少女ゲームにエロ漫画……。性情報を発信する「性的メディア」が氾濫するこの国で、性をめぐるコミュニケーションが貧弱化しているのは何故か。元来、性交の方法は、親も学校もまともに教えてくれるものではない。人々は性交に関する実用的な情報について、こうした性的メディアをいわば「教科書」に学んできた。しかし、異性に関して性的メディアが発信する情報と、現実の異性の気持ちには、実は深い溝がある。ここが、ズレを引き起こす要因ではないか。

メディアの情報を鵜呑みにせず、自分の頭で判断する能力を「メディア・リテラシー」という。もしかしたら日本人の性生活には、性情報に対するリテラシーが足りないのかもしれない。中高年の男女の性生活でさえこのような実態ならば、性行為を始めて間もない若者たちはどうなのだろう。現在20歳ぐらいの若者たちが生まれたのは1990年代前半。小学生の頃には、インターネットや携帯電話の登場による「IT革命」に遭遇した世代だ。若者を取り囲む性的メディア環境は急速に進化している。何よりネットの登場で、未成年でも性情報にアクセスし易くなったことの意味は大きい。

いまどきの若者たちはどんな性的メディアを見て、どんな性生活を送っているのだろうか。やはりズレはあるのか。昨今の男子は恋愛に受け身な「草食系」、女子は積極的な「肉食系」とメディアにラベル付けされているが、こと性生活に関しては本当にそうなのか。

この問いを検証するため、筆者は東京都内の複数の大学に通う2年生から4年生の男女計141人を対象に、性をめぐる様々な事柄についてアンケート調査を行なった。さらにそこから8人の男女を抽出し、個別にインタビュー取材を重ねた。8人は全て、高偏差値大学に通う4年生。まさにこれから、日本をリードする大企業で活躍しようとする人々だ。こうした人材は、どのような性意識を持ったまま社会へと出ていくのか。彼ら彼女らが性的メディアからどういったメッセージを受け止め、それらを自分の性行動にどう反映させているかを分析する。

また、そもそも現代のメディアに浸透する「性」の価値観は、いつ頃生まれ、どのように広がっていったのか。この点についても、戦前からの雑誌を仔細に検証する。性的メディアのネット版が増えようとも、雑誌は最も身近な性の情報源として昔から幅広い年齢層に手に取られ、時代の風俗を映し出してきたからだ。

もちろんあなた自身の性生活も、性的メディアを目にしたことがあるのであれば、その影響と無縁ではいられない。ご一緒に、「性情報リテラシー」を探求する旅に出かけましょう。

『性情報リテラシー』(渡辺真由子著)まえがきに加筆修正

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2015年6月5日金曜日

少年鑑別所で「ネット社会との上手な付き合い方」講演

東京少年鑑別所にて、
在所している子どもたち向けに講演を務めた。

 テーマは「ネット社会との上手な付き合い方」。
鑑別所に入る子どもたちの非行には、
ネットが絡むケースが増えているとのこと。
ネットの特徴などに関する知識が乏しいがゆえに
加害者になってしまう子どももいるそうだ。

そこで、 SNSやLINEの利用についてのマナーや
ネット・リテラシー、 いじめと性的トラブルの問題について
お話させて頂いた。

東京少年鑑別所でこのような趣旨の講演会を開くのは
初めてとのことで、
お声かけ頂き恐縮である。

少年鑑別所とは、 非行を犯した子どもが
審判を受ける前に収容される場だ。
子どもに対し面接や心理検査を行って
非行原因の解明を目指す。
その結果は、後に家庭裁判所が行う審判で
子どもを少年院に送致するか、保護観察にするか等の
判断材料とされる。

私はもともと事件記者だったため
犯罪現場は多数取材してきたが、
少年鑑別所に足を踏み入れたことはなかった。

今回は貴重な機会なので
所内をあちこち案内して頂く。
ここに詳しくは書けないが、
外部と遮断され、セキュリティも厳しく管理された
独特の空間だ。

そのような中、 在所者への貸し出し用の本棚に
小説や漫画が多数置いてあることに心が和む。
私の本も置いてくれないかしらん、と
ヨコシマな考えがよぎったり。

講演後、子どもたちは日記に
 「ネットの利用について今後はしっかり考えて行きたい」といったことを
それぞれの言葉で書いていたようで、
 「十分考える機会になったようです」と主催者の方。
多少なりともお役に立てれば幸いです。

ちなみに、在所者はおおむね14歳から20歳未満。
講演を聞く彼ら彼女らの顔を見ていると、
意外に素朴であどけない感じがした。
このような子どもたちを非行に追い立てたものは何だろう、と
考えずにはいられない。


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 【参考文献】

1

大人が知らない ネットいじめの真実




Book

プロフ中毒ケータイ天国
 子どもの秘密がなくなる日






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2015年6月1日月曜日

なぜ少女は性的な画像をネットにさらすのか

牛丼チェーン「すき家」でアルバイトをしている女子高生が、
自らの性的な画像をツイッターに繰り返し投稿していたと
報じられている。

本来、他人には見せるべきでないとされる部位を、
なぜわざわざ自撮りして不特定多数に公開したいのか?

私は最近、リベンジポルノの取材に関連して
若者の画像ネット投稿事情をインタビューしていたので、
参考までに御紹介しよう:

「それでいい」と言って欲しい


 高校二年生のヨウコ(17歳)は、
某巨大掲示板で「あなたの顔を評価する」というスレッドを見つけ、
投稿してみたくなった。

 「そのスレッドに投稿されている画像には、なんかちょっとお世辞にもかわいいとは言えない人のものも結構あったんです。なので自分だったら、まあ普通の上ぐらいの評価はくるかなと」

 そう思ったヨウコは、部屋で何枚も自分の顔をスマホで撮影した。すると、なかなか可愛いく写った画像が撮れた。「これ投稿したら、一番高い評価出るんじゃないの」。意気込んで投稿しようとしたら、スレッドの注意書きに目がとまった。「このスレッドに投稿した画像がその後どう広まっても、一切関係ありません」「投稿することはお勧めしませんが、それでもいい人は投稿して下さい」。

「あー、やっぱり駄目だ、やめておこう」と踏みとどまった。

ネットで自分の顔を評価してもらいたいと思ったのは、客観的な評価が欲しかったから。日頃、友達に「私の顔ってどうかな」と聞いても、みんなにはぐらかされた。「性格が面白い」などと、中身の話にすり替えられてしまう。外見についての正直な意見に飢えていた。

「やっぱり自分に自信がないからでしょうね。ネットに投稿して、見た人から『いいよ』と言われたら嬉しいだろうなって。これまでは自分の容姿について、『それでいいんだよ』とはっきり言ってくれる人がいなかったから」


「構って欲しい」という表れ

 ヨウコは、自分と同年代の少女が掲示板内で「女子高生」というタイトルのスレッドを立て、画像を投稿しているのをよく見かける。最初は足元など無難な部分を撮り、閲覧者の男性達から「もっと見せて」とコメントが来るのを待つ。リクエストが多ければ多いほど、「じゃあ」と胸元や下着姿など、どんどん過激なものを投稿し、さらに反応を待っている少女たち。

「彼女たちも、私みたいに自分に自信がない子じゃないかな。良い評価が欲しいから、自分からわざと、そそるような画像を撮っちゃう。そういうのも寂しさで、構って欲しいという表れじゃないかと思います。普段あまり人と話さないような子が、ネットの中でチヤホヤされたくって、自分の一番いいところだけを写して投稿してる。その画像が悪用されるかもしれないとは、あまり意識せずに。意識していたとしても、『まだ大丈夫』と自分に言い聞かせて投稿し続けたりとか」
 
 ツイッターでも、中高生とおぼしき少女たちが下着姿の画像を公開し、「50人にリツイート(転載)されたら、下着を脱いだ画像も載せます!」などと投稿している。家庭や学校から孤立し、自分の存在意義がわからなくなった少女には、それが一つの『認められるための手段』になっているのではないだろうか。


関連記事:SNS悪ふざけ画像とネット・リテラシー教育

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【参考文献】

Photo_2
『性情報リテラシー』

 

若者の「性行動」はいま
どうなっている!?



性教育教材としてニュースで紹介!


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 子どもの秘密がなくなる日



子どものSNS利用を徹底取材!



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SNS悪ふざけ画像とネット・リテラシー教育(新聞寄稿)