2009年5月25日月曜日

裁判員制度の怪

裁判員制度が始まった。
テレビや新聞のアンケートによると、
国民の参加意欲は低い。
「素人の自分に人を裁けるのか」
という不安が主なようだが、
そんなこと心配する必要は全然ないんですよ。
むしろラッキーだと考えて良いくらいだ。



本来、裁判官になるには
超難関の司法試験に合格せねばならない。
大学で法律を専攻し、受験対策のための専門学校に通い、
卒業後も何年もかけて勉強し、
それでも受からない人がザラにいる。
人を裁くという行為は、それだけ重いはずだからだ。



ところが国は、
あなたが何ら努力をしなくても
ポンとその権限を与えちゃおうと言うのである。
なんとオイシイ話ではないか。



専門的な知識がないのに、正しい判断が出来るか不安?
国はあなたに「正しい」判断など期待してはいない。
素人なんだから当たり前である。
感情の赴くまま、極刑を求めても良いのだ。
国がそれでも構わないと言っているのだから。



やっぱりどうしても裁判員になりたくない? そうですか。
でも断れないんですよ。
原則として、拒否すればあなたは罰せられる。



あなたは賛成した覚えなどないのに、
国は有無を言わさず「義務」を背負わせた。
テレビや新聞は、この制度をあなたに
「理解させ、受け容れさせる」ための情報を
繰り返し流している。



あの時代の日本に、似てきていませんか。































2009年5月9日土曜日

ブログ炎上とネットいじめ

トヨタの労働組合機関誌「ZONE」から
インタビューをお受けした。
テーマは「深刻化するネットいじめ」。
読者がいまの時代を生きるうえでの気付きを促し、
現代の問題を考えるきっかけを提供する
企画だという。



ネットいじめに関するインタビューは
様々なメディアから受けるが、
媒体ごとに着眼点が違う。
今回は、「ブログ炎上」とネットいじめの関連が
話題に上がった。



私は、ブログに攻撃的な書き込みが集中する現象と
ネットいじめとは、大いに関連があると考えている。
インターネットが人々から
現実社会における発言欲を奪い、
その一方で発言欲を満たさせる場となる、
皮肉な構図が発生しているのだ。
詳しくは6月10日発行の「ZONE」で。



ところで最近、
夏から秋に向けての
ネットいじめやメディア・リテラシーをテーマにした
講演依頼が相次いでいる。
既に日程がバッティングするケースも発生しており、
ご希望の方は早めにお問い合わせ頂きたい。







 



関連図書:








大人が知らない ネットいじめの真実


著者:渡辺 真由子



大人が知らない ネットいじめの真実





2009年4月21日火曜日

痴漢冤罪事件の本質

電車内での痴漢の罪に問われた男性が
14日に最高裁で逆転無罪を言い渡された事件。
多くのメディアがこのニュースを大々的に取り上げたが、
「痴漢捜査はもっと慎重にせよ」


との論調に終始するものが大半だった。
特に判決当日の『NHKニュース7』は
他のニュースより長い時間をかけ、
専門家の男性まで引っ張り出して、この主張ばかりを強調。
いかにも「マッチョメディア」的な報道であった。



だが、そもそも物証が少ない痴漢冤罪事件の本質は、
そんなところにない。
問題は、この男性の逮捕劇の陰で
ほくそ笑んでいる人物がいることである。
その人物が痴漢行為を働かなければ、
男性が被害者から誤解されることもなかったのだ。



つまり、「痴漢冤罪を防げ」と
メディアや男性団体が声高に言うのなら、
痴漢の存在そのものを無くす方向へ斬り込んでいかないと、、
根本的な解決にはつながらない。





「痴漢もの」のAVが人気を集め、
ネット上には痴漢行為の仲間を募集するサイトがあり、
「女性は触られて喜ぶ」などと
加害者の罪悪感を減らそうとする書き込みも繰り返されている。
これが、日本社会の現状だ。

痴漢に間違われるのを防ぐため、
「男性は両手でつり革や鞄、本などを持つように」
との自衛策を紹介するメディアもあったが、
より有効なのは
『女性専用車両』の導入徹底だろう。
満員電車での密着による「出来心」も防ぐことが出来る。

しかしながら
この女性専用車両、未だに導入が遅れている路線も多いのだ。
とりわけ、利用者の多いJR山手線に無いことには驚く。



メディアは、痴漢をめぐるこのような背景の改善をも
提唱すべきだった。



痴漢捜査に客観的証拠を求める世論を推進することは、
被害者に申告をためらわせ、
痴漢を喜ばせるだけである。














『マッチョメディア』的な報道とは?
         ↓








オトナのメディア・リテラシー


著者:渡辺 真由子



オトナのメディア・リテラシー





2009年4月14日火曜日

「エコノミスト」に『携帯サイトの闇』寄稿

2009_3







本日(13日)発売の「週刊エコノミスト」(毎日新聞社)に、
『親が知らない 子どもの携帯サイトの闇』を
寄稿している。

経済誌で携帯問題?と思われるかもしれないが、
子どもを持つ30代以上の男性読者から
要望の多いテーマだという。

携帯トラブルをめぐる最新事情を
3ページにわたりレポートしたので、
ご興味がある方はどうぞ。


特に「ネットいじめ」について知るなら・・・   



大人が知らない ネットいじめの真実

著者:渡辺 真由子


大人が知らない ネットいじめの真実




2009年4月8日水曜日

育児ストレス





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6日のNHK教育テレビ「福祉ネット」で、
育児に悩む母親たちの声を取り上げていた。



「子どもが食事をボロボロこぼす」
「物を散らかした後の片づけが大変」など、
初めての育児は戸惑うことや腹立たしいことが多い。
だが、誰にも相談できずに1人で悩む母親が
増えているのだという。



旦那は帰るのが遅いし、
外出先で子どもが泣きわめけば、
「母親が付いていながら」と周囲から白い眼で見られる。
昔のように「地域全体で子どもを育てる」
という意識が薄くなっているため、
現代の母親は孤立感を深めているのだ。



「母親は、子どもが何をしても受け入れねばならない」
「母親は、慈愛と奉仕の精神に満ちていねばならない」
などの、「母親たる者かくあるべき」という世間の考えも、
子育てする女性にプレッシャーをかける。
「こんな悩みを打ち明けたら、母親失格と思われるんじゃないか」。
そう思って口を閉ざしてしまう。



これは、子育てを美化する社会の風潮にも通ずるだろう。
「育児って愛情あふれる行為で素晴らしい」というメッセージが、
ファッション誌やドラマやCMで繰り返し発信されている。
結婚を控えたカップルは
「男の子が生まれたら一緒にキャッチボールをしたい」
などと無邪気に夢を語る。
自分たちの子どもだけは
五体満足で何の障害も持たず生まれてくると、
信じ込んでいるかのようだ。



2人の子どもを産み育てた私の知人は、
赤ん坊の頭にヤカンで熱湯をかけてしまいたいと
何度も思ったという。
言葉も通じず、泣き叫ぶだけの生命体と
1日中部屋に2人きりというのは、
想像を絶するストレスに違いない。



番組に寄せられた母親たちの声で
印象的だったのは、
「夫に育児の辛さをねぎらってもらったら、
気持ちがすうっと楽になった」
というもの。



旦那さん方、帰宅して妻に
「お疲れさま」と迎えられたら、
「キミもお疲れさま」と返していますか?


写真は、新宿御苑の桜。





2009年3月30日月曜日

市民メディア本の書評とWBC

先日終わったWBC。
優勝したことで、マスコミは
「日本中が歓喜の渦に包まれた」とか騒いでいたけれども、
私はちっとも興味がなかった。
どれくらい興味がなかったかというと、
TBSの「2時っチャオ」を見ようとチャンネルを合わせて
WBCの中継が行なわれていると、
チッと舌打ちして日テレの「ミヤネ屋」へと
チャンネルを変えるくらい興味がなかったのだ。



だから、あたかも「全国民」が
WBCの行方を固唾を飲んで見守っていたとか、
優勝に大喜びしているかのような
マスコミの断定口調はとても困る。
マスコミが騒げば、「皆が見てるんだから」と
新たに見る人が出てくる。
そうやってWBCのブランドイメージが拡大再生産されていくと、
私の大好きなワイドショーが、どんどん野球中継に放送枠を
奪われてしまうではないか。



大体マスコミは、一部の人の間でしか発生していない現象を
あたかも全ての人が行なっているかのように
ひとくくりにして報じる傾向がある。
「全ての女子高生は、お小遣い欲しさに援助交際したがっている」
といった論調の週刊誌や夕方情報番組。
あなたも見たことがあるのではないだろうか。
真面目な女子高生にとってみれば、
ミニスカートを履いて街へ出るだけで
報道を真に受けたオジサンたちにいちいち声を掛けられ、
たまったものではない。



マスコミがひとくくりに報じるのは
その方が「楽」だし「わかりやすい」からだ。
だが乱暴な決め付けは、ただでさえ陰に埋もれがちな少数派の声を
かき消してしまう危険性がある。
作り手の方、「WBCに目が釘付けだった人『も多いと思います』」
ぐらいの冷静な表現に留めておきましょう。



ところで、インターネット新聞「JANJAN」に
単行本『メディア・ルネサンス』(津田正夫/魚住真司、風媒社)
の書評を寄稿した。
「市民メディア」の現状を報告し、
今後の発展の可能性を追究する本である。
「市民メディア」とは、一般市民によって制作されるメディアのこと。
興味がある方は書評をどうぞ。



      




メディア・ルネサンス―市民社会とメディア再生

 



メディア・ルネサンス―市民社会とメディア再生





2009年3月19日木曜日

「メディアの表現が子どもに与える影響」講演

「メディアの表現が子どもに与える影響
 ~情報に潜んだ真意を見抜く~」
というテーマで、
東京都板橋区男女社会参画課主催のセミナーにて
講演した。



特に、インターネットや携帯電話などの
「新しいメディア」が、
子どものジェンダー意識や性犯罪に与える影響に
着目するものだ。
ネット絡みのトラブルに巻き込まれる子どもが
後を絶たない中、
大人に何が出来るかを考える事は急務である。



講演は以下のような内容:



○子ども向けメディアに潜むジェンダー
○メディアの暴力表現、性表現の影響
○インターネットや携帯電話が形成する
  ジェンダー意識と性被害の現状
○大人に出来る対策とは?



参加した方々から多くの感想を頂いたので、
一部をご紹介しよう。

・「メディアの影響について、とても役立つ情報を得られた。自分がジェンダーに縛られていたことを知って、びっくりした」

・「身の回りの事象を取り上げ、具体的に簡潔に分析し説明してくださり、わかりやすかった」

・「情報が与える背景がわかり、自分で情報を判断していくことの重要さを知ることができた」

・「知らないうちにメディアから受ける影響は、改めて大きく怖いものだと感じました」




メディアの影響力を知る入門書はこちら↓

      






オトナのメディア・リテラシー


著者:渡辺 真由子



オトナのメディア・リテラシー