2013年2月26日火曜日

性ビジネスの闇に堕ちた少女(新聞連載)

*新聞に以前連載したこの取材記事、反響が大きかったため全文を掲載する。
児童買春・児童ポルノ禁止法違反容疑で逮捕者が出たこともある「着エロ」業界、
そこに自ら足を踏み入れる少女の心理とは。そして、行きつく先とは……。



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『性ビジネスの闇に堕ちた少女』



 「着エロ」という言葉を耳にするたび、A子(23)は体を固くする。「もし、あの写真を見られたら」



 白い肌に長い黒髪を持ち、スラリと背が高いA子。地方の高校を卒業後、上京して芸能事務所に所属した。テレビでちやほやされるようなタレントになりたかった。



「デ
ビューへのステップ」として紹介された仕事は「着エロ」。「着衣したエロ」の略で、面積の小さい水着などを身に付けたまま、カメラに向かって卑わいなポー
ズをとる。恥ずかしかったが、カメラマンやスタイリストが自分のためだけに動いてくれることに「嬉しさの方が大きかった」



 当時A子は19歳。だが撮影された画像は「16歳の女子高生」と謳われ、インターネット上で販売された。名前こそ偽名だが、素顔がさらされている。「別に嫌じゃなかったです。自分の姿を多くの人に見てもらえるのが、誇らしかったですね」



 
幼い頃に母親を亡くし、父親一人の手で育てられた。大手メーカーで忙しく働く父は、A子にあまり構ってこなかったという。夜遊びや朝帰りをしても問い質されることもない。「認められていない」との思いがいつもあった。着エロはそんなA子が、自分の存在意義を確認出来る場だった。



「こういう仕事って、『お金のため』って言えば世間は納得するじゃないですか。私たちも面倒くさいから、とりあえずそう説明する。でも着エロをやってる子には、裕福な子や偏差値が高い大学の子もたくさんいますよ」



 着エロの世界は競争が激しい。若い子が次々と入ってくる。仕事は次第に来なくなった。「目が大きい方が仕事をもらえる」と事務所に言われ、瞼を二重に整形した。だが状況は変わらない。次に紹介されたのは、アダルトビデオの仕事だった。



 ビデオの撮影では、乱暴なプレイもされた。嫌だったが断ると次がないため、「いい子」でいた。その仕事も少なくなると、ソープランドに回された。それでも「必要とされている」との実感がA子を満足させた。



 
足を洗ったのは、3年間の風俗業で貯めた800万円を当時の彼氏に持ち逃げされたから。現在は新たに結婚を約束した男性がいる。彼はA子の過去を全く知らない。着エロやAVの画像は、いまもネット上に漂っている。「婚約者には絶対にバレたくない。ポルノを撲滅させて欲しい」



 孤独や虚栄心につけ込む。それがポルノ・ビジネスだ。




(完・新聞連載)



【参考文献】



Photo_2



『性情報リテラシー』

 渡辺真由子著(Kindle版)



 望まない妊娠、中絶、デートDV……
  青少年の 「性的有害情報対策」としての
  メディア・リテラシー教育はどうあるべきか?



関連の動き色々











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2013年2月19日火曜日

桐朋学園芸術短期大学の教壇へ

桐朋学園芸術短期大学から、集中講義の担当依頼を頂いた。
女優の大竹しのぶ氏や歌舞伎役者の中村梅雀氏を輩出し、
演出家の蜷川幸雄氏が前学長を務めたことで知られる学校である。


しかし私と芸術のつながりといえば、
ピアノは「エリーゼのために」しか弾けないし(「乙女の祈り」には到達出来ず)、
ミュージカルもニューヨークのブロードウェイで「マンマ・ミーア!」を観たことぐらいはあるが
特段演劇マニアなわけでもなく、
アートに造詣が深いと言えるほどではない。全くない。


そんなアタクシになぜお声が?と思ったら、
学校側が拙著『オトナのメディア・リテラシー』をお読みになったそうで、
「演劇・音楽のスタッフやプロデューサーを目指す学生たちに
是非メディア・リテラシーを教えて欲しい」とのこと。



2


なるほど、確かに
芸術を通して社会にメッセージを発信する立場を目指す人々にとって、
「メディアの作り手の意図」や「メディアの情報が受け手に与える影響」を学ぶことは重要であろう。
私の知識や経験がお役に立てれば幸いである。


というわけで、桐朋学園芸術短期大学の学生の皆さん、
よろしくお願いします。


ちなみに私は
大学におけるこうした教育の機会には、出来るだけ貢献出来ればと考えている。
大学出張講義に関する詳細はこちら。



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2013年2月16日土曜日

栃木&埼玉で「メディア・リテラシーとジェンダー」講演

年度末のこの時期は講演依頼が集中しており、
全国の様々な地域にお招き頂いている。
私のツイッターフェイスブックでは逐次報告しているが、
ブログでは全てを紹介出来ない事を御了承願いたい。



さて、
先日は栃木県男女共同参画センターにて
「メディア・リテラシー講座」を担当。
メディアの基本的な読み解き方と、ジェンダー表現に関する問題をお話させて頂いた。



この講座は募集開始からあっという間に定員オーバーし、締め切り後も応募が続いたとか。
メディア・リテラシーへの関心の高まりが伺える。



地元新聞社の取材も入るなか、参加した方々からは
「メディアに『裏』があることを確認できた」
「情報の意図を読み解くということを、具体的な事例でわかりやすく
説明されたのが良かった」
「今後のメディアとの関わりの参考になった」
「ニュースの作り方が理解できた」
「今後、テレビや新聞の見方が変わりそう」
などの感想を頂いた。



また、
埼玉県の上尾市男女共同参画推進センターでも
「メディアとうまく付き合う方法」と題して講演。



女性も男性も幅広い年代が参加下さり、
「うちのイベントでこんなに集まったのは初めてです!」と主催者の方。
参加した皆様から寄せられた声は以下の通り:



「知らないメディア・リテラシーについて初めて接することが出来、
とても良い内容でした」
「女性に対する偏った見方がメディアでされているということは、全く考えていなかったので
発見でした。これから気を付けて見たいと思います」
「日頃、心の中でモヤモヤしていたことが、ああそうだったのかとスッキリした気持ちになりました」
「わかりやすい説明で、楽しめる講座でした」
等々。



各地の皆様、
有難うございました!



【参考文献】
メディアとジェンダーの関係を知るには……
『性情報リテラシー』



Photo


・子ども達はメディアの性情報にどのように接し、
 自らの性行動・性意識にどう反映させているのか?



・「性的有害情報対策」としての
リテラシー教育はどうあるべきか?



 ⇒メッセージ&目次 








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2013年1月31日木曜日

【要旨あり】(児童ポルノ・創作物含む) 『性的有害情報の影響データ』調査研究論文

103 『性的有害情報に関する実証的研究の系譜~従来メディアからネットまで』
と題した論文を、情報通信学会誌に寄稿した。

この分野は近年、海外を中心にかなり研究が進んでいるが、
日本では2000年代半ば以降、ほとんど学術的報告がなされていない。

本稿はそれらの成果を新たに幅広くまとめ、
「性的有害情報に関して、海外国内の状況を概観した実証的・網羅的研究である」
との評を頂いたものである。

児童買春・児童ポルノ禁止法改正や青少年健全育成条例制定、
メディア自主規制等については様々な考え方があるだろうが、
性表現の影響に関する科学的なデータの必要性は共通していよう。
本稿が御参考になれば幸いである。

官公庁や企業、地方自治体による青少年保護対策として、
メディアの「どのような」性情報が、「なぜ」問題なのかを理解するにも
お役に立つだろう。

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【要旨】

  青少年による性的有害情報への接触は、インターネットの普及で容易になった。フィルタリングが必ずしも有効でないスマートフォンの登場がその傾向を後押ししており、新たな対策は急務といえる。
 本稿は、マス・コミュニケーションの効果研究において、性的有害情報に関する従来メディアの研究を概観した上で、ネット上の性的有害情報をめぐり海外で行なわれている研究の最新動向を伝え、ネットならではの影響特性や影響研究の限界についても分析した。性に関する情報が全て有害なのではなく、問題は、その描写内容に「性暴力」が登場するかどうか、さらには被害女性の反応をどう描くかにあることが示唆される。CGの発達やコミュニティサイトの相互作用性など、ネットの特性が生み出す実態にも目を向けねばならない。
 ネット上の性的有害情報への対策を技術的な規制のみに頼るのは限界がある。新たな自主規制・法規制の検討や、性情報の歪みやネットならではの特性を批判的に読み解くリテラシー教育が、家庭や学校において今後より求められよう。
(情報通信学会誌 30-2)
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A Review of Research which Discusses the Effects of Obscene Harmful Information from Old Media to the Internet

【ABSTRACT】
The spread of the Internet has made it much easier for young people to come into contact with obscene harmful information. The appearance of smartphones which are not always effective at filtering out such information supports this tendency, and new measures to counter this threat are urgently needed. This paper reports on the latest trends in research from abroad on mass communication effects which deal with sexually harmful information, and analyzes the special characteristics of the effects such information may have over the Internet and the limits of these study.
It is suggested that obscene information is not always harmful, but that what makes it harmful is whether images of sexual violence are depicted and how it shows the reaction of the woman who is involved. We must pay more attention to the actual situation caused by the characteristics of the Internet, including the development of computer graphics and the interactivity of community sites.
As there is a limit to how far we can depend on only technical regulation for measures to counter obscene harmful information on the Internet, we must consider new legislation and hope for better media literacy education at home and at school which allows young people to critically understand the potential distortions of sexually obscene information and the special dangers of the Internet.

Mayuko WATANABE,
Senior Visiting Researcher, Keio Research Institute at SFC
Journal of Information and Communication Research 
 Vol.30(2012)No.2 p.81-88

なお、上記論文は学術界向けのため、
一般の方はまず『性情報リテラシー』
性的有害情報が青少年に与える影響の実態を把握して頂きたい。

Photo


・子ども達はメディアの性情報にどのように接し、
 自らの性行動・性意識にどう反映させているのか?

・「性的有害情報対策」としての
リテラシー教育はどうあるべきか?

 ⇒メッセージ&目次

・【お知らせ】大学客員講義 受付スタート!







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2013年1月30日水曜日

研究活動

■論文



 「性的有害情報に関する実証的研究の系譜 :従来メディアからネットまで」 
  (『情報通信学会誌』30(2)、2012年)



Regulations and Media Literacy Education on Online Obscene Harmful
Information: A Japanese Perspective
 
 (Keio Communication Review No.34,
2012)



 「ネット上の性情報に対する規制とメディア・リテラシー教育のあり方の国際比較」
  (『慶應義塾大学メディア・コミュニケ-ション研究所紀要』(61)、2011年)



・ 「ネット空間のメディア・リテラシーと情報モラルのあり方に関する国際比較研究」
 (吉田秀雄記念事業財団
 平成21年度版研究助成論文集(pp.19-31
  
菅谷実(慶應義塾大学メディア・コミュニケーション研究所教授)、渡辺真由子、金美林



「世界のメディア教育政策」
 (翻訳担当:
第3章「メディア・リテラシーにおける放送規制の役割(イギリス)」) 
  発行:
国連「文明の同盟」、ユネスコ、欧州委員会



■学会発表



・「性的有害情報の影響をめぐる議論の系譜 ~従来メディアからネットまで」 
 (情報通信学会大会、
20117月)

‘Regulations and Media Literacy Education on
Online Obscene Information:
    A Japanese Perspective.’

  International
Telecommunications Society: Asia-Pacific Regional Conference, June 2011



所属学会

・情報通信学会
・法とコンピュータ学会
・日本語ジェンダー学会








◆大学での講義依頼について










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2013年1月24日木曜日

いじめ通報の第三者機関を~大津市いじめ自殺報告書を前に

大津市いじめ自殺事件で、
第三者調査委員会の報告書が今月中に出されるという。



注目すべきは、
因果関係にどこまで踏み込むかと、
再発防止策として何を打ち出すかだろう。



いじめ対策については私も何度か言及したが、
今回は、「いじめの悪化を防ぐ」ための観点から、
通報機関設置の必要性を述べたい。



いじめに悩む生徒の通報機関として多いのは、
教育委員会内に設置された窓口である。
だが教育委員会は学校と利害を同じくするので、
公平な調査は期待しにくい。



昨年末発生した大阪市の体罰自殺事件でも、
市教委に通報が行なわれていたが
親身な調査はなされなかった。



そこで求められるのが、
教育委員会から独立した第三者機関である。
いじめ自殺「発生後」の調査には
第三者機関が立ち上げられる動きも見られるようになったが、
是非、いじめが「悪化する前」に通報出来る第三者機関の
常設も求めたい。



この種の機関としては
1999年に全国で初めて、兵庫県川西市が
「子どもの人権オンブズパーソン」を設置。
条例による調査権が与えられており、
実際にいじめが改善したケースもある。



最近では昨年10月に岐阜県可児市が、
独立機関である「いじめ防止専門委員会」を
条例で立ち上げた。



しかし、こうした動きは全国的にはまだ少数である。
いじめの早期解決を公正中立に行なうため、
全ての自治体に、通報・調査用の第三者機関設置へ向けた
条例作りに取り組んでもらいたい。





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2013年1月16日水曜日

「報道する立場から見た、いじめ対応の問題点」講演@徳島

徳島市教育委員会が主催した会合で、講演を務めた。



「報道する立場から見た、いじめ対応の問題点」がテーマ。
いじめ自殺を長年取材してきた経験に基づき、
学校や加害者側の対応のあり方について、
徳島市の保護者や教職員、青少年健全育成に関わる方約250人に
お話させて頂いた(毎日新聞で記事掲載)。



いじめ自殺が発生すれば、学校にマスコミが押し寄せることになる。
だが、学校側が取材を避けるばかりでは何の解決にもならない。
ましてや隠ぺい工作に走れば、ネット炎上にもつながる。
マスコミとどう向き合うか?は、学校の誠意とリスク管理意識が試される課題だ。



加害者とその親についても、
なぜいじめ行為をしてしまったのか、家庭内教育はどうなっていたのか、を明らかにし、
問題点は社会で共有していくことが、再発防止につながると考える。



同様のテーマでは以前、週刊ポストの取材にもお応えした
なお、私が行なってきたいじめ自殺取材については、こちらで詳しく紹介されている。



ちなみに徳島へは少し前にも
文科省の「ケータイモラルキャラバン隊」として訪れ
その際に頂いた「すだち焼酎」の何とも言えないスッパサが印象に残っている。
今回はとんぼ帰りだったが、またゆっくり味わいたいものです。





*子どものいじめには「性」を悪用する
「性的いじめ」も多発しています。
メディアが発信する性情報とも無縁ではありません:



Photo_2


 『性情報リテラシー』 渡辺真由子著

 ・子ども達はメディアの性情報にどのように接し、

  自らの性意識・性行動に
どう反映させているのか?

 ・「性的有害情報対策」として

  リテラシー教育はどうあるべきか?

  ⇒メッセージ&目次







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