2019年4月23日火曜日

児童ポルノの創作物規制を考える


 https://gumroad.com/l/childporn小学校の教室で、男性教師が女児たちと次々に性行為をしている。男児が家庭教師の男性に下半身をもてあそばれ、調教されている。ランドセルを背負った女児が男性たちに車に連れ込まれ、性的暴行を受けている……。


このような表現を、私たちはいま、マンガやアニメ、ゲームでいくらでも見ることができる。スマートフォンでインターネットの画面を開けば、子どもを性欲の対象として描くコミックスのバナー広告が、見ようとしなくても目に入ることもある。日本製のこうした作品は、海外向けにも複数の言語に翻訳され、「HENTAI(ヘンタイ)」という呼称で人気を集めている。


実在しない子どもを性的に描くマンガやアニメ、ゲーム等の表現物を、本研究は「創作子どもポルノ」と呼ぶことにする。創作子どもポルノについては、「あくまで架空の物語であり、実在する子どもに直接性行為をしているわけではないのだから問題ない」との声も聞かれる。だが、その表現内容に関していえば、架空であるからこそ問題性が高いのではないか。

架空の物語は基本的に「何でもあり」である。幼い身体に無理やり性行為をされれば、実在する子どもは計り知れない辛さや痛みを感じるが、架空の子どもは快感に打ち震える。「子どもに性行為をしても構わない」とのメッセージが、合法的な手段を通して簡単に広まっていく。

創作子どもポルノの規制をめぐり日本では、「児童買春、児童ポルノに係る行為等の処罰及び児童の保護等に関する法律」の制定(1999年)や、「東京都青少年の健全な育成に関する条例」の改正(2010年)のたびに、激しい議論が巻き起こってきた。論点の中心は「表現の自由に反するか否か」であった。

表現の自由はもちろん重要な私たちの権利だが、一定の制約があり、どのような表現でも許されるわけではない。創作子どもポルノに見られるような、子どもへの性的虐待を娯楽として描き、子どもの性の尊厳を踏みにじる内容は、表現の自由で本当に押し切れるのだろうか。

本研究は、創作子どもポルノの規制問題について、「人権」をキーワードに読み解いてみたい。人権とは、私たち皆が生まれながらに持っている、人間らしく生きるための権利である。当然、子どもにも人権はある。創作子どもポルノの存在を肯定することは、子どもの人権を侵害することにつながるのではないか、というのが本研究の問題意識である。 


世界に目を転じると、児童ポルノ規制に関する国際条約は近年、創作子どもポルノも規制対象に含める傾向にある。国レベルでも、イスラム圏や社会主義国に加え、北米やヨーロッパでも、創作子どもポルノを犯罪とするための法制化が進む。そのような国際潮流のなか、いまだ創作子どもポルノを規制対象から外す日本には、国連を始めとする世界的な会議や海外メディアから「創作子どもポルノの一大発信源」として名指しされ、厳しい目が注がれる。


果たしてわが国は、創作子どもポルノと子どもの人権の問題に、どう向き合うべきなのか。本研究は、国際社会の視点にヒントを得ながら、わが国に求められる役割を考えていく。折しも2020年には東京オリンピック・パラリンピックを迎え、日本のマンガやアニメ、ゲームも「クールジャパン」として、世界中から大きな関心を集めることになろう。その時こそわが国が、グローバル時代にふさわしい人権感覚を身に付けた雄姿を発信する好機である。子どもの性の尊厳が守られる、真に成熟した日本社会の実現へ向け、本研究が一助となることを願う。












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