2021年10月29日金曜日

フジテレビ『めざまし8』で「週刊誌報道とジェンダー」(コメント出演)


 今月28日のフジテレビ『めざまし8』にコメント出演した。

 テーマは、某女優2人の不仲説をめぐる週刊誌報道。
「本人たちは否定しているのに、このような記事が掲載されるのはなぜなのか?」との問題提起が、番組側からなされた。
私のコメントは以下の通り:

「一般論として、『女同士の闘い』などの構図を扱う記事は読者の感情を強く刺激するので、『売れる』として扱われることが多い話題」

"女同士の闘い" という言葉は、「女性=感情的・嫉妬深い」などのジェンダーイメージと結び付けて使われやすい。

このようなジェンダーが絡む対立の構図は、メディア側が「売れる」と判断する典型的な内容だ(メディアによる判断基準は他にも複数あり、詳しくは拙著『オトナのメディア・リテラシー』で解説している)。

もちろん、こうした「売れる」情報を優先的に発信するメディアは週刊誌に限らず、テレビをはじめとする主要なメディアが似たような姿勢をとっている。

その意味で今回、キー局の大型朝番組がこの自己批判にもつながり得るテーマを取り上げたことには、大きな意義があるといえよう。 テレビも少しずつ、進歩していると思われ。

ちなみに「メディア・リテラシーとジェンダー」については、ちょうど今週、私が教鞭を執る銀座MAYUMEDIAカレッジで講義をしたばかりであった。


【参考文献】

『オトナのメディア・リテラシー』(渡辺真由子著、リベルタ出版)


 





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2021年10月18日月曜日

「性的不同意」の事例と「グルーミング」(性犯罪の法制審)

 

性犯罪に対処するための法整備について、上川陽子法相は今年9月、法制審議会に諮問した。

焦点の1つは、性犯罪の構成要件とされてきた「暴行・脅迫」などをどう見直すか、である。私が若者たちに取材を重ねた経験からいえば、暴行や脅迫のない性暴力は、日常的に起きている。

暴行や脅迫がなくても、なぜそれらは「性暴力」と被害者に受け止められるのか。
そこに「同意」が存在しないからだ。

参考までに、私が取材した事例を『デート・レイプの実態』で紹介している。
以下に一部を抜粋:

【事例1.「料理」を目的に行ったのに】
「留学していた時、10歳年上の日本人男性と知り合いました。相手も語学勉強中で、いろいろ遊びに連れて行ってくれるお兄さんみたいな存在でした。

あるとき、『料理をご馳走してあげる』と言われて、彼の家に行ったんです。一緒に映画を見ていたら、だんだん部屋が暗くなってきて。私は……」<続きを読む> 

 

【事例2.「映画を見る」はずが】
「2人で横になりながら部屋で映画を見ていたら、私の背後にいた彼の手が段々と体に触れてきたんです。冗談かと思っていたら本気だったらしく……」<続きを読む>

 

上記の被害者たちは、いずれも性行為に同意していたわけではない。
だが、映画やドラマの性的暴行シーンに見られるような「激しい抵抗」をしたわけでもない。

彼女たちにあったのは、不意打ちの性暴力に対する「精神的ショック」や「諦め」だ。

こうした被害者をどう救済するのか。法制審には、被害の実態に即した法改正を目指してもらいたい。

<参考>
『性犯罪の暴行・脅迫要件に見直しが必要な理由(法務省検討会)』

 

また、今回の法制審への諮問では、
「性交等又はわいせつな行為をする目的で若年者を懐柔する行為(いわゆるグルーミング行為)」に関する罪を新設することも、論点として取り上げられている。

 グルーミング? なんだか懐かしい響き……
と思ったら、私がカナダに留学中の2006年、オンライン上の子どもへの性犯罪を調べていた時によく目にした言葉だった。

そう、当時カナダでは既に、child grooming が社会問題になっていたのだ。
2002年には、性犯罪を目的としてネット上で子どもと交流することを、法律で禁止した。

グルーミングのプロセスについても、海外で研究が進められている。
典型的な手口は以下のようなもの:

1.犯人はまず、子どもたちがよく使うチャットルームにアクセスする
2.標的とする子どもを見つけ出す
3.優しい言葉をかけて相手の心をつかむ

こうした手口は、日本におけるリベンジポルノや自画撮り被害でもよく見られるものだ。

「狙いやすい子ども」には一定の特徴がある。手口や対策の詳細については、複数の拙著で述べている:

【参考文献】

『オトナのメディア・リテラシー』(渡辺真由子著、リベルタ出版)


 






https://www.amazon.co.jp/%E5%AD%90%E3%81%A9%E3%82%82%E3%81%AE%E7%A7%98%E5%AF%86%E3%81%8C%E3%81%AA%E3%81%8F%E3%81%AA%E3%82%8B%E6%97%A5-%E3%83%97%E3%83%AD%E3%83%95%E4%B8%AD%E6%AF%92-%E3%82%B1%E3%83%BC%E3%82%BF%E3%82%A4%E5%A4%A9%E5%9B%BD-%E4%B8%BB%E5%A9%A6%E3%81%AE%E5%8F%8B%E6%96%B0%E6%9B%B8-%E6%B8%A1%E8%BE%BA-%E7%9C%9F%E7%94%B1%E5%AD%90-ebook/dp/B007U5RL4Q/ref=as_sl_pc_tf_mfw?&linkCode=wey&tag=mediaw-22

『子どもの秘密がなくなる日~プロフ中毒ケータイ天国』(渡辺真由子著、主婦の友社)

 

 

 

 

 

 

 

 

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2021年10月6日水曜日

教育委員会で「ネット・リテラシーと人権」講演/町田小6自殺

「メディア・リテラシーと人権~ネット・トラブルの現状と対策~」と題して、講演を務めた。 

神奈川県平塚市教育委員会が主催する「人権教育担当者会」にて。
公立幼稚園・こども園、小学校、中学校の先生など約50名が対象。

「小中学生によるスマホ、インターネット等によるトラブルやいじめの状況のほか、教職員の心構えや予防、解決策などを伝えてほしい」とのご依頼であった。

そこで講演では、以下のような内容をお話:

・インターネットがトラブルを招きやすい理由
・対策キーワード:「ネット・リテラシー」とは?
・2大トラブルの現状とリテラシー
①ネットいじめ
②リベンジポルノ・自画撮り被害
・被害にあってしまったら

ネットいじめに関しては、北海道旭川市で発生した女子中学生凍死事案などを例に挙げ、「性的ないじめ(性犯罪)」を防ぐため、「人権に根差した性教育」のあり方も述べた。

「そのような性教育は、子どもたちが幼稚園の時から始められると感じました。大きなヒントになりました」と、主催者の方。

参加者の方々からも多くのご感想が:

・「ネットいじめ=悪口の書き込みというイメージが強かったが、今はネット上でも性に関するいじめが多いと聞いて驚きました。正しい性教育を受ける機会があまりなく、動画や漫画等のフィクションの性知識を得る機会の方が格段に多いと思います。学校でも子どもたちに性に関する知識を得てもらい、被害者にも加害者にもならないよう指導できるといいと思いました」
・「性に対しての誤った知識や、相手のことを考えない行動から生じる性トラブルが増えていると感じます。学校での性教育の大切さを改めて感じました」
・「性教育とメディア・リテラシーの大切さについて実感できた講演でした。ネット環境が急速に広がる中、私たち大人がしなくてはいけない事があると思います。事件や被害にあう前に、ネットの危険性(利便性も含め)を伝えていく必要があると思いました」
・「リベンジポルノについて聞いたことはあったが、当事者の心理などはあまり考えたことがなかったので、とても勉強になりました」
・「これからネットに関わる人権問題と学校現場とは切っても切り離せない時代になってくると思いますので、今回先生のお話を聞き、対応方法などとても参考になりました」

……などなど。
こちらこそ、ありがとうございます。


ところでネットいじめといえば、東京都町田市立小学校の6年生の女児がいじめを訴え、2020年11月に自殺した件が、いま頃になって表面化している。

この件について指摘したい点は多々あるが、特に気になるのは、町田市教育委員会のいじめ問題対策委員会が「当該校に通う児童への影響」などを理由に、報道機関に人権への配慮を求める緊急声明を発表したことである。

私がかつて取材を重ねたいじめ自殺事案でも、
学校側が「在校生への影響」を盾に取り、取材を拒む例が多々あった。
遺族たちは、「亡くなった人間に人権はないのか」と唇をかんだものだ。

在校生らの人権はもちろん大事だが、最も重視されねばならないのは、「死へと追いやられた者」の人権である。
報道機関には自らの使命に従い、真実を明らかにしてもらいたい。
 
 
 【参考文献】


『大人が知らない ネットいじめの真実』  

  (ミネルヴァ書房、単著)

中学道徳教材 採用文献 (3刷)

大学入試 出題文献

 

 

 
 
 

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