「日本学校心理士会研修会」において
文部科学省初等中等教育局児童生徒課が行った
講演内容を
関係者の方から入手した。
「いじめ・体罰への対応について~学校心理士への期待~」と題された講演。
レジュメには、いじめの問題に関する緊急調査結果や文部科学省の取り組み、
いじめを理解するための生徒指導理論が紹介されており、なかなか読み応えがある。
一方で気になる点も。
「いじめの状況」を概観する項目において、紹介されているデータは
「いじめの認知(発生)件数・率の推移」のみ。
これだけ?
「いじめの後に自殺した件数」は出さないのか?
もちろん、
いじめと自殺の因果関係が定まっていなければ
やすやすと「いじめ自殺」として統計がとれない事情はあるだろう。
それでも、
「自殺者がいじめに遭っていたと報道された事案数」や
「いじめが自殺の原因として争われた訴訟数」を紹介することは出来たはずだ。
ただでさえ、学校側は在校生の自殺を「不慮の事故死」として計上したがり、
「自殺数」の実態が表に出にくい傾向がある。
2012年に兵庫県川西市で
いじめを受けていた県立高校2年の男子生徒が自殺した際も、
学校側が「不慮の事故」と表現することを遺族に頼んだ件は記憶に新しい。
ましてや学校心理士といえば、
スクールカウンセラーや養護教諭として
子どもを援助することが期待される立場である。
この人々に、いじめが子どもを死に至らしめる深刻な実態を知らせることは
大きな意義があろう。
文科省の対応を、
いじめで子どもを亡くした親は
どう見たか。
98年に発生した福岡男子高校生いじめ自殺事件の遺族。
やはり息子の死は「不慮死」として処理されている。
今回の講演内容に対し、こんな手紙を送ってこられた。
「文科省の守りの姿勢にもうんざりです。
末端の教師はほとんどが理解することなく
子ども達を教育しているのではないでしょうか?」
講演に参加した学校心理士の1人は
「自分たちの施策の羅列で、心に響かない」と感想を述べていた。
「いじめ」について、いま現場の教育者たちに何を伝えるべきか。
国として改めて考えてもらいたい。
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