2025年12月12日金曜日

日本家族計画協会&助産師会で「SNSの性的トラブルと子ども」講演

 

一般社団法人 日本家族計画協会が主催する「思春期保健セミナー」で、講演を務めた。

医師や心理士、警察官など、保健・医療・教育・福祉・司法関係者が対象。

「JFPA 思春期保健相談士Ⓡ」の養成も兼ねるとのことで、私は2017年から講義を何度か担当させて頂いている。

今年は「思春期におけるネット・トラブルの根本的原因とその考察」と題し、下記の内容をお話:

●ネット・SNSがトラブルを招きやすい理由
●対策キーワード:「ネット・
SNSリテラシー」とは?
●デートDVSNS -リベンジポルノ・自画撮り被害
●性的トラブルの現状とリテラシー
1.性情報の誤解
2.性的ディープフェイク
●ネット・SNSと性教育のこれから
 

その後のアンケートでは、講義への満足度が「期待以上」「期待通り」で計99%という結果に。
恐れ入ります。 
 

・とてもわかりやすかったです! ありがとうございました!

・何となく現状は把握していたつもりだったが、想像以上にいままでの性教育が役に立っていなかったのだと実感しました。自分の偏見も確かにありました。今後プレコンセプションケアに携わる機会が増えると思うので、学んだことを活かしていきたいです。 

・簡潔でネットトラブルの背景や現状、トラブル時の対処法がすごくわかりやすかったです。

・職業柄、自画撮り被害等のネットトラブルに合った子どもとかかわる機会があるのですが、性的トラブルにはどのような背景があるのか学ぶことができたため、仕事に活きる知識が身についたと感じています。

・支援対象の子ども、保護者への説明をどのように展開すれば理解が深まるのか、具体的で分かりやすかったです。有難うございました。

・根本的原因とその考察が大変勉強になりました。 自分自身がネットとかに苦手意識が強いので、どのように考えていくかということが分かった気がします。

・話し方がとても分かりやすく、楽しんで聞くことができました。

・自分も性情報の誤解、偏見があることに気づくことができた。 被害者にも加害者にもかかわる際には気を付けてメッセージを伝えていきたい。

・わかりやすく、引き込まれるような講義で非常に身になりました。

……などなど、多数のご感想を頂いた。こちらこそ、ありがとうございました! 

【参考文献】 

性的ディープフェイクや性的同意と、メディア情報の関係についてはこちら: 

「メディアの性情報と性情報リテラシー® ~この10年で変わったこと、変わらないこと~」渡辺真由子 『現代性教育研究ジャーナル』(日本性教育協会)2025年3月号



また同様のテーマで、川崎市助産師会の「妊娠出産 SOS 相談事業研修」でもお話させて頂いた。

近年は、若者がインターネットの巧妙な罠から性のトラブルに巻き込まれる事例も増加するなか、状況把握や適切な支援について知りたいとのことであった。

主催者の方は、拙著『大人が知らない ネットいじめの真実』や、『リベンジポルノ~性を拡散される若者たち~』もお読みになったそう。

講演では、「若者のネット・トラブルと、対策としてのネット・リテラシー」と題し、性情報の誤解や性的ディープフェイク、支援者の言葉使いについてお話。

「楽しく学べて、あっという間でした!」と参加者の方。
せや、楽しいのが一番やおまへんか(←最近読んだ山崎豊子著『花のれん』風)。 

ところで、私の公式ホームページのプロフィールをご覧になった主催者の方から、「バックパッカーとは意外でした!」と。
そう、1人で安宿を放浪したものよ(遠い目)。

お世話になったみなさま、ありがとうございました☆ 

 

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2025年11月13日木曜日

生成AI時代の児童ポルノ禁止法改正のあり方とは?

 

「生成AI児童ポルノ」閲覧でフランスで有罪

日本サッカー協会(JFA)の幹部職に就いていた男性が、航空機内で児童ポルノを閲覧したとしてフランスで有罪判決を受けた。男性が閲覧した児童ポルノには、生成AIによる創作物も含まれていたとされる。

子どもを性的に虐待する表現物(CSAM)は、たとえAIや漫画、アニメ等の創作物であっても、海外では違法となることが多い(日本と欧州の、児童ポルノに対する意識の違い等について、共同通信へのコメントはこちら)。

 

児童ポルノ禁止法は、創作物規制にも適用可能

翻って日本の場合、児童を保護する法律として、既に児童ポルノ禁止法が存在する。

だが、AIにより創作された性的虐待表現物(性的ディープフェイクも含む)に対しては、処罰が困難との声があった。実在しない子どもを性的に描くマンガやアニメ、ゲーム等の創作物(「創作児童ポルノ」)を、同法は処罰の対象外としている、とみられてきたためである。

しかしながら私の研究によれば、児童ポルノ禁止法は現行の枠組みのまま、創作児童ポルノ規制にも適用が可能だ。その実現は、同法の運用・改正次第であると考えられる。


「人権」の観点が乏しかった児童ポルノ法研究

創作児童ポルノ規制に関する従来の研究は、表現の自由の観点から捉えるものが大半で、「子どもの人権」の観点による議論はそもそも殆ど見当たらない*。

そうした中で私の研究は、子どもの人権侵害を防ぐ観点から、日本における創作児童ポルノ規制の法整備のあり方に踏み込むこととした。

これは、国際条約の児童ポルノ規制の枠組みを、比較法的手法を用いて調査することにより、初めて可能になったものだ。
*2016年当時

 

子どもの人権保護のため、日本の児童ポルノ禁止法に必要な取り組みは?

この研究では、児童ポルノ規制の「枠組み」や「視点」について、日本と国際規範との差異を明らかにしている。

その上で、子どもの性に関する人権保護へ向け、日本が国際規範との整合性を確保する上で必要な方向性を提示した。

創作児童ポルノの規制に対し、なぜ現行の児童ポルノ禁止法の改正で対応できるのか? どう改正するのか?? 等について、詳しくはこちら


 渡辺真由子(2025)「AI時代の性的ディープフェイクと児童ポルノ禁止法」(要約版)『メディアと人権ジャーナル』Vol.2 No.1






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2025年11月10日月曜日

SNS時代の子どものリアルとどう向き合うか(講演)

 


「みやぎ教育のつどい」@仙台で講演を務めた。

 小中学校の教職員でつくる宮城県教職員組合、高校・特別支援学校の教職員でつくる高教組、私立学校の教職員の私教連、さらに東北大学、宮城教育大学などの教育関係組合や、宮城県内の市民団体等が集い、子どもと教育について語り合うイベントである。

県内全域から、250名以上の方々がご参加。 

私の講演では『SNS時代の子どものリアルとどう向き合うか』と題し、下記の内容をお話:

ネット・SNSがトラブルを招きやすい理由
・対策キーワード: 「ネット・SNSリテラシー」とは?
・3大トラブルの現状とリテラシー
 1.ネットいじめ
 2.リベンジポルノ・自画撮り被害
 3.性的ディープフェイク
☆性的トラブルとジェンダー
・被害にあってしまったら


参加された方々からは、多数のご感想を頂いた: 

 「SNS による子どもたちの被害などの知識を持っているつもりでしたが、具体的な子どもた
ちの被害や背景にあるもの、そして苦しみまで深く理解していなかったことに気づいた。ネット SNS リテラシーについても、その根拠と共に具体的に知ることができた。」

「SNS 時代の子供のリアルについて学ぶことができました。様々なトラブルが見られる中で、子どもたちを含め、社会全体でネット・SNS リテラシーについて考えていく必要があると思いました。」

「ネットの弊害はここまで来ているのかとゾッとする思いでした。」

「内容がすごく生々しく、具体的で分かりやすかった。」

 「取材に基づく話をしてくださり、実感を伴って話してくださったのでよかった。」

「子どもたちが被害に遭わないために、こういうトラブルに関する情報を、日常のものとして伝えたり、相談に乗れるようにしたりする必要があると思った。」

「実際に先生がお聞きしたことや、被害、加害の子どもたちの気持ちなどをお聞きできて、
自分の価値観や考え方が広がりました。今まで以上にもっと考えて、教員として言動を考
えていきたいと思います。」

「大人も子どももスマホ持参でもう手放せない状態でいる。そしてさまざまな事件、事故が起きている。原因の本質をどうしても聞いてみたいと思って参加しました。大変参考になりました。ありがとうございました。」

 

また会場からは、
「教員グループによる盗撮行為等のSNS共有事件が大きく報じられているが、再発防止のためにはどうすればいいのか」 
とのご質問が。

今回はたまたま加害者・被害者の規模が大きいためメディアが騒いでいるが、教員による子どもへのわいせつ行為は、以前から多々発生している。
明らかに、日本社会の対策の遅れが原因だ。 

日本サッカー協会幹部の児童ポルノ有罪に関してもコメントしたように、子どもの性と人権や、児童ポルノに関するメディア・リテラシーについての研修を実施するなど、倫理・コンプライアンスを高める対策が必要になる。

そして何より重要なのは、 子どもへの性的虐待を「娯楽」と捉える風潮を撲滅するための、児童ポルノ禁止法の改正である。
AI時代の児童ポルノ禁止法の改正に関する解説はこちら。


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2025年11月5日水曜日

日本サッカー協会幹部の児童ポルノ有罪でコメント(共同通信)

 

日本サッカー協会(JFA)で技術委員長の要職を務める影山雅永氏が、航空機内で児童ポルノを閲覧したとしてフランスで有罪判決を受けた。

影山氏が閲覧した児童ポルノには、生成AIによる創作物も含まれていたとされる。

この件について、共同通信からインタビューをお受けした。その直後にJFA側に新たな動きがあったため、配信はされていないので、ご参考までに紹介する:

----------------- 

【日本サッカー協会幹部の児童ポルノ有罪をめぐって(共同通信インタビュー概要)】 

●Q. 本件に関する受け止めは?

A. 子どもの人権に対する日本の意識の低さが、改めて世界に露呈した。

日本は子どもの性的な創作物を規制していない国として、かねてから国際社会の批判を浴びている。  

 

●Q. 日本と欧州の、児童ポルノに対する意識の違いとは?

A. 欧州の国際条約における児童ポルノ規制の枠組みは、 「『子どもの権利』を基軸として、創作物を含むあらゆる性的搾取から子どもを保護」しようとする概念に基づく。

その背後にある視点は、「創作物の児童ポルノは、実在する子どもを性の対象とする歪んだ認識を見る者にもたらす」というもの。

その結果として、「創作物の児童ポルノは、実在する子どもが性的虐待の被害にあい、その人権が侵害される可能性を高める」と考えられている。

一方、日本は
子どもの権利よりも「表現の自由」を優先させ、子どもの性的な創作物を規制していない。

立法関係者、業界団体、学説の三者は、創作児童ポルノの規制阻止へ向けて互いに援護し合う、いわば「トライアングル連携」を構築している。

 

●Q. 日本サッカー協会に求められるガバナンスとは?

A. 公益財団法人として、子どもを健全に育成する責任を負うと考えられる。

影山氏の弁解からは、子どもへの性的虐待表現を「娯楽」と捉え、子どもの心身に与える傷や苦痛に、思いを馳せられていない様子が伺える。

子どもの性と人権や、児童ポルノに関するメディア・リテラシーについての研修を実施するなど、倫理・コンプライアンスを高める対策が必要になるだろう。

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<関連情報>

「ネット時代の子どもの人権と児童ポルノ」講演(学会シンポジウム) 

創作児童ポルノに関する研究のまとめ(総合解説)

 

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2025年10月15日水曜日

学校側のいじめ対応の問題点(メディアの立場から)講演

 

「報道する立場から見た、いじめの問題点~いじめ発生時、学校と親はどう対応すべきなのか!?~」
と題して、講演を務めた。
佐賀県高等学校生徒指導研究集会にて。

県内全域の高校から、校長・教頭などの幹部や警察関係者の方々、約250名がご参加。

主催は、佐賀県高等学校教育研究会生徒指導部会(後援:佐賀県教育委員会)。

高校で当面する生徒指導上の諸問題解決に向け、知識・スキルを習得する機会として行われているイベントである。
 

いじめ自殺問題を30年近く取材してきた私だから言えることがあるのではと、下記の内容をお話(画像は、福岡いじめ自殺事件で亡くなった古賀洵作さん):

福岡いじめ自殺事件
・取材を通して感じた問題点
 -学校側/加害者側/保護者(被害者)対応
・第三者委員会の役割
・いじめ裁判の動向
・子どもを守る対策とは

「講演は盛況で、『マスコミからの違う視点で考えたら、そうなのか』ということが沢山あり、多くの気づきと学びになりました」

「いじめ自殺への対応とは、『人間の尊厳』の問題だと、強く思いました」

など、主催者の方々からご感想が。
 

なお、このテーマについてはこれまでに、テレビ番組教育雑誌などで何度かコメントしている。

また、いじめに関する第三者委員会の調査報告書では、拙著『大人が知らない ネットいじめの真実』が引用されることもあるので、参考にして頂きたい。

お世話になった皆さま、ありがとうございました! 




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2025年9月26日金曜日

性的ディープフェイクの氾濫を招いた理由とは?(『メディアと人権ジャーナル』最新号)


生成AIを悪用して作った性的創作物、いわゆる「性的ディープフェイク」について、内閣府は2025年9月、「さらなる被害拡大が懸念される」との調査結果を示した。なぜ、このような事態を招いてしまったのか。

 

海外では性的ディープフェイクの法規制が進むが、日本には現時点で、直接的な規制はない。日本の児童ポルノ禁止法は、実在しない子どもを性的に描くマンガやアニメ・ゲーム等の性的創作物を、規制対象外としているとみられてきた。このため、やはり創作物である性的ディープフェイクに対しても、処罰が困難との声があがる。

 

はたして児童ポルノ禁止法は、どのような議論を経て、性的創作物を規制しないという決定に至ったのか。メディアと人権研究所MAYUMEDIA(M研)が発行する『メディアと人権ジャーナル』最新号では、同法をめぐる国会でのやりとりや関連団体の動きを分析し、我が国の対応が鈍い理由を明らかにする。

 

『メディアと人権ジャーナル』2025 Vol.2 No.2
児童ポルノ禁止法の第2次改正に関する立法過程
―― 目 次 ―― 

1 立法関係者の議論と分析
(1)   立法関係者の議論
(2)   立法関係者の議論の分析

2 出版業界の議論と分析
(1)   出版業界からの意見表明
(2)   出版業界の議論の分析
 
3 弁護士会の議論と分析
(1)   弁護士会からの意見表明
(2)   弁護士会の議論の分析

⇒お求めはこちらから。

 

 

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2025年9月4日木曜日

「ネットいじめの現状と対策」講演(インターネットと人権)

 
「深刻化するネットいじめ その現状と大人の役割」と題して講演。
埼玉県久喜市のPTA人権教育研修会にて。
同市教育委員会が主催した、「インターネットによる人権侵害」に関するイベント。
 
●スマホ・SNSは「いじめ」をどう変えたか
●ネットいじめの手口
●大人はどんな対策が必要か?
 -応急処置編
 -根本解決編
 
……といった内容をお話。
新しい性的いじめとして、「性的ディープフェイク」に対するネット・リテラシー教育についても解説した。
 
質疑応答では、会場参加者から
「ネット・リテラシーは子どもたちに何歳頃から教えればいいか」
とのご質問が。
 
ユネスコの『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』は、
インターネットやソーシャルメディアの安全な使い方について、
5歳から教えるよう推奨している。
 
私が代表を務める性情報リテラシー®教育協会でも、
小学校入学前後の子どもとその保護者を対象としたSNSリテラシー教育教材を開発し、出張授業に対応中。関心がある方はこちらからチェックを。 

ところで、
私の講演会は行政主催が大半であるため、
手話通訳が付くことが多い。
 
手話通訳の方々は非常に勉強熱心で、事前に私の講演内容について調べたり、私が話すスピードを動画で確認したりしてくださる。

今回の講演会では、参考文献『大人が知らない ネットいじめの真実』(渡辺真由子著)を手話通訳の方が購入され、読んでいてくださった。

もちろん、喜んでサインさせて頂きました。
全国の手話通訳の皆さま、いつもありがとうございます! 
 
 

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