2019年3月22日金曜日

「博士論文に盗用か」のデマと、慶応大学の不当な学位調査について(渡辺真由子)

 ■「博士論文に盗用か」とのデマ

慶應義塾大学大学院政策・メディア研究科後期博士課程において当方が執筆した博士論文『児童ポルノ規制の新たな展開~創作物をめぐる国内制度の現状及び国際比較による課題~』について、あたかも盗用が含まれているかのようなデマが拡散しているが、事実ではない。

当該博士論文に不正はない。

文科省の定義は盗用を、他の研究者の論文等を適切な表示等なく用いることとし、故意でないものは不正に当たらないとする。

当該博士論文(書籍版とは一部内容が異なる)では、耳目を集めた章(全8章中の1章<第7章部分>)の引用箇所について、注に出典を表示している。

そもそも引用先の論文はネット上で公開されており、万が一故意に盗用すれば、すぐに暴露するのは自明である。

そのような危ない橋を渡る気はない。

もちろん慶応大学側も、幾重にもわたる指導・審査の結果、当該博士論文を合格と判定した。

 

■慶応大学の不当な学位調査

ではなぜ、慶応大学側は突如、当該博士論文を取り下げたのか。

慶応大学関係者の証言によれば、ジェンダーや性をめぐる研究にかねて反発していた上層部の男性教員が、感情的に取り下げを主張したという。

文科省のガイドラインに違反した、異様な調査内容

学位調査は異様なものだった。

大学側は文科省の調査ガイドラインに違反して、マスコミへの情報漏洩を行い、調査委員も身内で固めた。その上で、大学関係者らの処分は避け、全責任を学生(当方)に負わせると結論付けた。

調査内容を記したはずの報告書は、隠ぺいした。 

このような大学側のふるまいは、自組織の保身を優先した、極めて権威主義的なものであり、学生を預かる立場として無責任とのそしりを免れない。

 

■メディア報道の偏り

慶応大学が当該博士論文を取り下げた時点で、新聞やネットを中心としたメディアは、おびただしい数の報道を行った。 

しかし、当方に直接取材・記事化したメディアは、実に一社もなかった。
いわゆる「こたつ記事」が量産されたのである。

内容についても、大学側の言い分を一方的に紹介するものが大半だった。 

これらについては、当方がメディア現場出身の研究者として、日頃から報道のあり方を批判していたことが関係しているかもしれない。

どのような理由があるにせよ、本件についてメディアは公正中立の立場から大きく外れ、極めて怠慢かつ偏った報道をしたことは指摘しておく。

 

なお本件発生以来、アカデミズム関係者をはじめ、多くの皆様からご支持を頂いた。ここに改めて感謝申し上げる。

今後は皆様から頂いた応援を糧に、「尊厳を重んじあう社会」の実現へ向け、さらに研究活動をパワーアップさせていく。どうぞお待ちを!


渡辺 真由子


 

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【慶應義塾大学による不当な学位調査とアカデミック・ハラスメントへの抗議声明】

慶應義塾大学は2019年3月20日、
SFC(湘南藤沢キャンパス)が当方に博士の学位を授与した論文
『児童ポルノ規制の新たな展開~創作物をめぐる国内制度の現状及び国際比較による課題~』について、調査の結果取り下げると発表した。

当該論文は、慶応大学による指導監督下において学生(当方)が執筆し、同大学が正式な審査過程を経て合格と認定し、学位を授与したものである。

今回、調査対象とされた論文は、この合格した論文と全く同一だ。

大学側により認定された合格論文が突然、後付けで取り消され、しかも全責任を学生に負わせる形で幕引きが図られたことに、大変困惑している。

後述するように、当該論文における形式的不備は、当方による故意ではなく、何らやましい点はない。

それにもかかわらず大学側は、なにゆえに取り下げという判断をしたのか。形式的な不備があると今になって主張するならば、なぜ最初の審査段階で学生側に指導し、修正の機会を与えなかったのか。

今回の調査結果の判断理由を示すよう大学側に求めたところ、「調査報告書は見せられない」との一点張りであり、学生側への説明責任を果たそうとしない。

すなわち学生側に見られては困る、「正当な調査結果ではない」ことを疑わせる。

本件は、慶応大学による当方へのアカデミック・ハラスメントと認められ、ここに強く抗議するものである。

事態の背景に何があるのか。

実はこれまで表には出さなかったが、大学側からは以前より、当方の研究・ジャーナリスト活動に対し、度々介入が行われていた。

 例えば、かつて慶応大学に関する性犯罪疑惑をテレビ番組や週刊誌が報道したとき(『被害女子学生を突き放して保身!福沢諭吉が泣いている「慶応大学」がけしからん!』週刊新潮)、当時博士論文の執筆中だった当方は、コメンテーターとして大学側を表立って批判したことがある。

大学側は即座に、論文審査への影響をちらつかす脅しともとれるメッセージを当方によこし、口止めを要求してきた。

ジャーナリストである当方の存在は、
確かに大学側にとって極めて目障りだったかもしれない。
だが、今回の博士論文をめぐる大学側の横暴ともとれる措置が、自分達に都合の悪い学生を迫害しようとしたものであれば、断じて許されない。

大学側に対しては、学位撤回という結論を捻出した手法は非常にずさんで、学生側の人権を侵害したものと見なさざるを得ない。

その主な理由は以下の3点である:

第一に、本件は故意によるものではない。
第二に、大学側の調査委員会のあり方は、極めて不適切である。
第三に、大学側は指導教育機関としての責任を果たしていない。

以下、詳細を述べよう。


第一に、本件は故意によるものではない。

編集過程における齟齬が発生した書籍版とは異なり、本論文では、不備があるとされる章(全8章中の第7章部分)の引用箇所について、注に出典を明記している。
もちろん、いわゆる剽窃になることを避けるためである。
引用自体、アカデミズムで正当な行為として認められているものだ。

そもそも引用先の論文はネット上で公開されており、万が一故意に流用すれば、すぐに暴露するのは自明である。
そのような危ない橋を渡る気はない。

実際、大学関係者によれば
「SFC側は本件を、学位取り消しに相当するとまでは考えていなかったようです」
という。
ではなぜ、最終的に取り消しとの判断がなされたのか。
「合議をした三田(キャンパス)側はもともと、新設ながら目立っているSFCの存在が面白くなかったのです。さらに三田側の上層部の一人が、感情的に取り消しを主張したと聞いています」(同関係者)。

この「上層部の一人」というのは、
過去に当方の「ジェンダーと人権」をテーマとする研究内容に拒否反応を示し、阻止しようとした男性教員である。
学内派閥や私情によって学位が左右されたのであれば、甚だ不当だ。
 

第二に、大学側の調査委員会のあり方についても、極めて不適切である。

研究上の事案を調査するにあたっては、
文科省がガイドラインを示しており、
慶大もこれに近い形の学内ガイドラインを設けている(本件後、大学側はリンク先のガイドライン資料を削除)。
しかしながら本件の調査過程には、
これらのガイドラインに準拠していない点が複数存在する。

慶大のガイドラインは、
委員会が調査を行うことを決定した場合、
調査対象者に「調査を行うことを通知」することを定める。

だが今回、大学側が調査委員会を立ち上げた際に
当方への通知は一切なく、
立ち上げから1ヵ月半以上が経過してから
唐突に連絡を受けた。

また、文科省のガイドラインは大学側に対し、
調査対象者名や調査内容については
結果の公表まで調査関係者以外に漏えいしないよう、
「関係者の秘密保持を徹底する」ことを求めている。

しかし三田広報室は、当方に調査委員会の立ち上げすら通知していない段階で、
マスコミに調査に関する情報を漏らした。

大学関係者によれば、広報室は
「マスコミに聞かれたから答えた」と弁解しているという。

ところが、その広報室は報道対応の指針として、
在学生・卒業生などにつき
「個人情報に関するお問い合わせには応じられません。」としているのである。
実際、学生による性暴力を始めとする数々の不祥事が起きても、
当事者の名前すら公表しない。 

そうでありながら、当方に関する「デリケートな個人情報」はあっさりと漏えいしたことには、
私怨を感じざるを得ない。

さらに慶大のガイドラインは、調査委員会のメンバー構成について、
「義塾に属さない外部有識者を半数以上含めなくてはならない。」と定め、
委員の氏名・所属については、調査対象者に示すものとしている。

また、メンバー構成に対し調査対象者は、「通知着後10日以内に異議申し立てをすることができる。異議申し立てについては、委員会はその内容を審査し、その内容が妥当であると判断したときは、部門長に依頼して委員の交代を行」う、と定める。

上記の規定に反し、
今回の調査委員会のメンバー構成は、
大学側の教員3名及び大学側が手配した弁護士1名であり、
ほぼ大学側の身内で固められた。

なお、当方の博士論文の指導教授も調査対象者とされるが、
調査委員の中には、同教授の教え子も含まれていた。
この教え子委員は同教授に近い立場におり、調査期間中も飲食を共にするなど、懇意にしていたことが明らかになっている。

そのように公正中立性が疑われるメンバー構成であることは、
大学側から当方に事前に示されず、
異議申し立てが出来ることへの説明もなかった。

これらの点を鑑みると、大学側は調査過程において、学生側への適切な配慮を怠ったといえる。


第三に、大学側は指導教育機関としての責任を果たしていない。

大学側は、多額の学費収受と引き換えに、学生(当方)に対し6年にわたり研究指導を行い、正式な審査過程を経て学位を授与した。
この事実を大学側が重く受け止めるのであれば、
博士論文の修正や再指導等、何らかの救済措置を講じて然るべきと考える。

そもそも、論文に不備があると今になって主張するならば、なぜ大学側は当初、何の指摘も指導もしていなかったのかは大きな疑問である。学生として、速やかに修正する機会を与えられなかったのは誠に遺憾だ。

故意でない不備であるにもかかわらず全責任を学生側に転嫁し、指導した大学側が
被害者面を決め込むのであれば、危うくて学生は論文など書けない。

以上、
この種のケースで後に続く学生のためにも(まあ誰も続きたくないだろうが)、
大学側には強く抗議するものである。


*注 本件に関しては上記内容のほか、未公開情報も複数存在する



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https://gumroad.com/l/childporn【博士論文『児童ポルノ規制の新たな展開~創作物をめぐる国内制度の現状及び国際比較による課題~』の概要】

本研究では、「実在しない子どもを性的に描くマンガやアニメ、ゲーム等の表現物」(以下、「創作子どもポルノ」)の規制に関し、国際社会の枠組みとは日本の規制状況が取り組みを異にするという課題において、それらが一致していない要因に着目する。その上で、子どもの性に関する人権保護へ向け、国際規範との整合性を確保するために必要な方向性を提示している。

児童ポルノ規制をめぐる従来の主な研究が「表現の自由」の観点から議論されてきた中、本研究は「人権」の観点から、新たな児童ポルノ規制のあり方を考えることを目指したものである。

本研究の提言は、我が国における創作子どもポルノ規制の法整備のあり方にまで踏み込んでいる。

折しも2020年に東京オリンピック・パラリンピックを控え、日本のマンガやアニメを海外に発信する「クール・ジャパン戦略」が政府を筆頭に推進される中、我が国には今こそ、創作子どもポルノ規制において、国際規範に沿った人権感覚を適用することが望まれる。

*本論文の要約版はこちら

2019年3月15日金曜日

社会人大学院でスクーリング

客員講義を担当する社会人大学院で今年度、
スクーリングが開催された。

 丸一日かけて、
3つのテーマでお話するのである。

・SNSリテラシー
・ネット時代の子どもの人権
・性教育とメディア

……について、
それぞれ(ノドをからしながら)解説させて頂いた。

受講生の職種は、
学校教員や助産師、NPO代表の方など様々。
現場で子どもや若者と触れ合う仕事に就いているからこそ、
私の講義内容に興味を持たれたとのこと。

 せっかくの機会なので、
各自の立場から、
それぞれのテーマに対する問題意識も発表して頂いた。

「テーマについて自分が考える問題点を明らかにし、解決策を話し合うサイクルだったので、とても参加しやすく、わかりやすかったです。 今後も自分で考察を深め、身近で実践していきます。」
と参加者の方。

社会人の方々というのは
現場感覚に基いた具体的な問題意識を持っておられるので、
こちらとしても刺激が多く、独特のやりがいがある。

皆さま、有難うございました!

<参考文献>
https://www.amazon.co.jp/%E3%83%AA%E3%83%99%E3%83%B3%E3%82%B8%E3%83%9D%E3%83%AB%E3%83%8E%E2%80%95%E6%80%A7%E3%82%92%E6%8B%A1%E6%95%A3%E3%81%95%E3%82%8C%E3%82%8B%E8%8B%A5%E8%80%85%E3%81%9F%E3%81%A1-%E6%B8%A1%E8%BE%BA-%E7%9C%9F%E7%94%B1%E5%AD%90/dp/4335551754『リベンジポルノ
~性を拡散される若者たち~』







https://www.amazon.co.jp/%E5%A4%A7%E4%BA%BA%E3%81%8C%E7%9F%A5%E3%82%89%E3%81%AA%E3%81%84-%E3%83%8D%E3%83%83%E3%83%88%E3%81%84%E3%81%98%E3%82%81%E3%81%AE%E7%9C%9F%E5%AE%9F-%E6%B8%A1%E8%BE%BA-%E7%9C%9F%E7%94%B1%E5%AD%90/dp/4623052265/ref=as_sl_pc_tf_mfw?&linkCode=wey&tag=mediaw-22
 『大人が知らない ネットいじめの真実』










https://t.co/Utr6ptyEYD
『性情報リテラシー』












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2019年3月5日火曜日

「子ども時代」はビジネスになる

東京の片隅に咲く河津桜☆
もうすぐ春ですね~♪というわけで、
ブログのデザインをプチ・リニューアルしました☆
春の女神ペルセフォネならぬマユセフォネと呼んでちょうだいまし(←自己陶酔中)。

さて、あなたはこの春、
どんな新しいことにチャレンジしますか?

この機会に、自分のメディア生活を見直してみてはいかがでしょう。

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【「子ども時代」はビジネスになる】

 少子化にも関わらず、子ども向け市場は盛り上がっている。子ども1人にかけられるお金が増えたためだ。アパレル各社が高級子ども服市場に参入し、退職した団塊世代が孫への消費を増やしている。

 子ども市場の成功は、「子ども時代」をビジネスに仕立て上げたことだった。牽引したのは、メディアである。

メディアは絶え間なく親子の物欲を刺激してきた。赤ん坊はこの社会に生れ落ちたときから、メディアの洪水にさらされることとなる。おもちゃですら、子どもにジェンダー意識を植え付ける立派なメディアである。

 子どもが家庭の消費に大きな影響力を持つなか、メディアはどのような手口で、子どもに取り入るのだろうか。


子どもを狙う広告の手法


幼児期の子どもを対象にしたメディアといえば、基本となるのが広告である。おもちゃでも絵本でも、それを子どもに使わせるには、広告が重要な役割を果たす。

 とはいえ、幼児とはまだ意思疎通ができない。幼児向け商品の広告がメッセージを送る対象は、親である。子どもを狙うにはまず購買力を持つ親から、ということだ。ここでは、広告が親を取り込む過程を見てみよう。……(メルマガをご登録頂くと全文読めます。ご登録初月は無料で、当月配信分を全てお試し頂けます。)


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さあ、あなたもこの春、
必殺仕事人……じゃなくて










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