2015年5月7日木曜日

総務省情報通信政策レビューに掲載:『子どもポルノをめぐる国際動向と人権』

『子どもポルノをめぐる国際動向と人権』と題した拙論が、
総務省情報通信政策研究所「情報通信政策レビュー」第10号
に掲載された。


「子どもポルノに関する国際条約を概観しており、資料的な意味は大きく、
子どもポルノに関する全体像や、日本の問題点を指摘している点で
意義がある」と評されたものである。
 

子どもポルノと国際人権法をめぐって我が国に見られた従来の研究は、
子どもの商業的性的搾取に対する取り組みを
総合的に報告するものが主であり、
子どもポルノに関する「全体像」や「日本の問題点」を
指摘するものが見られなかった。

本稿はこれらの点に寄与するため、
国際人権法の枠組み(欧州評議会によるサイバー犯罪条約や性的搾取・性的虐待子ども保護条約ほか)を概観したのみならず、
それらにおける子どもポルノの位置付け、
及び採用している子ども観や背後にある思想を明らかにした上で、
「国際社会が日本の子どもポルノ政策に求める役割」を考察している。

要旨は以下の通り:

児童買春・児童ポルノ禁止法が20146月に改正されたことを受け、今後、日本が子どもポルノに政策的対応を行うに際しての検討課題を提示する。
子どもポルノは、子どもの商業的性的搾取(CSEC)の一環であり、グローバルな課題として国際的に取り組む必要性が指摘され、様々な国際法が制定されてきた。「あらゆる形態の子どもポルノは人権侵害である」というのが国際社会における共通認識である。だが日本は、子どもを性的に描く漫画やアニメ、CGといった仮想描写物の子どもポルノの主要発信国と見なされるにも拘わらず、対処のための政策が国際基準を満たさないことから、世界的なCSEC対応の障害となっていることが批判されている。
子どもポルノ政策に関し日本では従来「言論の自由」の観点からの、いわば大人の都合による議論に偏る傾向が見られるが、「子どもの最善の利益」という国際法の基本理念に立ち返れば、「子どもの人権」の観点からの議論をより充実させていくことが求められる。本稿では特に、仮想描写物の子どもポルノに関する考え方や規制のあり方について、一定の視点を提示する。

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【関連論文】
『性的有害情報に関する実証的研究の系譜~従来メディアからネットまで』
『性的有害情報に関する実証的研究の系譜~従来メディアからネットまで』

【ENGLISH】
Watanabe, Mayuko. International trend and human rights over child pornography: the future agenda of Japan. In Information and Communications Policy Review No.10 March, 2015  (ABSTRACT)

【現場レポート】
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