2014年7月15日火曜日

SNSに依存する子どもたち(3)<なぜ秘密を公開するのか>


20145「SNSで顔を公開しても別に危険とは思いませんね。もし地元で気付かれて声かけられたら、逆に嬉しい。『ああ、知ってるんですか。ありがとうございます』みたいな。本名や顔画像があった方が、見る人も安心してコメントしやすいだろうし」


 こう、ある女子中学生は語る。子どもにとって、SNSは「出会い」に不可欠な道具となりつつある。恋人はいるのか。どんな趣味を持っているのか。新しく知り合った人からこうした情報を聞き出すには、ある程度時間をかけて仲良くなることが必要だ。だがそれも昔の話。いまは、個人情報満載のSNSがこの手間を省いてくれる。とりわけ春の進学・クラス替えシーズンは、SNSの面目躍如となる。


クミ(仮名・16歳)は高校に入学したての時期、新しいクラスの女子たちとSNSのURLを交換した。早速、相手のサイトに「挨拶コメント」を書き込み合う。クミのサイトにもたくさん届いたというので、見せてもらった。「クラス一緒です。学籍番号も近いよ、よろしく!」「同じクラスだよ~!! 絡みましょ♪」「一緒だね。これからヨロシク」


なかには、「きょう話しかけるね。よろしく!」と書かれたものもあった。送信時間は朝の6時半。わざわざSNSで「予告」をしてからでないと話しかけられないのだろうか。突然話しかけて、拒絶されるのが怖いのだろう。別の女子からもクミ宛てに「声かけて~。話したい!」「明日絶対話そうね~」などと書き込まれていた。いまの子どもたちは、相手に不快感を与えないよう、とても臆病になっている。

 だがクミは、「SNSがあるから、友達が出来るきっかけになる。逆に助かってます」と言う。


「直接会って自己紹介するときも、SNSにもう詳しく書いてあるから、話が早いし。SNSがあるとないとでは、友達と仲良くなるスピードが変わってくる。SNSがなければ直接色々と自分のことを口頭で説明しなきゃならないんだろうけど、一回SNSやっちゃうと、こっちの方がずっと楽だなって」


 SNSに本名や素顔を載せるのも、こうした友人作りの一環である。クミももちろん、自分の個人情報を公開している。「本名を出した方が、誰だかわかるじゃないですか。検索にひっかかるし。プロフィール欄にも顔写真を貼っておけば、学校や地元なんかで『ああ、あの子SNSで見た子だ』ってなるから便利」


 実際には、ネットに公開した情報は世界中の人に見られるものだ。だが、クミは意識していない。「私のSNSを見るのは、女の子とか地元の人だけだと思う。特に怖さとかは気にしてないですね」



<続く:不定期連載>
初出:月刊『子どもの文化』2014年5月号




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