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さて、
私も委員を務める東京都青少年問題協議会は
5月末、
子どもが自分の裸等を撮影してメール等で送るように要求される、
いわゆる「自画撮り」の被害について、
未然に防止するための答申を取りまとめ
小池都知事に報告した。
審議にあたり私が重視したのは、
被害を防ぐための普及啓発や教育、相談に関する
以下の2点である。
第1に、
子どもがネット上で悪意のある者とのやりとりを始めないよう、
悪意のある者による「標的探しの手口」を
子どもに具体的に教えておく必要がある(答申10頁)。
悪意のある者が子どもに近づく手口は巧妙で、
様々なパターンが見られるためだ。
それらを子どもにあらかじめ注意喚起し、
「何か怪しい」と気付ける能力を養うことが求められる
(関連発言:第2回専門部会議事録31-32頁)。
第2に、
子どもが裸等の画像の撮影・送信を働きかけられたり、
実際に画像を送信したりした段階で、
気軽に相談出来る窓口を整備・周知することが重要である
(答申12頁・17頁)。
というのも、子どもは窓口に相談することに対し、
「親や学校に連絡がいくのではないか」「相談対応者に怒られるのではないか」
などの不安を持ち、相談を躊躇しがちだ。
こうした不安を払拭するため、相談体制を
「2段階対応」にするといった工夫をすべきである
(関連発言:第3回専門部会議事録41頁)。
ところで、
今回の答申作成のきっかけとなった小池都知事からの諮問は、
子どもの自画撮り被害の背景として
「脅されたり、だまされたりするなど」したことを想定したものであった。
都が把握している被害事例には、
「ネット上で知り合った人物に執拗に画像を要求された」といったケースが
目立つためである。
児童ポルノ事件(2016年)に関する警察庁の統計でも、自画撮り被害では
加害者との面識がない場合が約8割に上り、
その大半はSNS等のコミュニティサイトで知り合っている。
一方、
自画撮り被害には「リベンジポルノ」が関わるケースもある。
元交際相手の裸の画像などを流出させるリベンジポルノは、
その画像が被害者に自ら撮影・送信させたものであることも多い。
「愛情の証」として被害者が交際相手に送った写真が、
別れた後の復讐に悪用されるのである。
警察庁のまとめによれば、リベンジポルノに関する警察への相談(2016年)は
1063件に上り、2年続けて1千件を超えた。
被害者は10代以下が2割以上を占め、
加害者との関係は「(元)交際相手」が約7割に達した。
つまり、
子どもの自画撮り被害は、
「恋愛感情」 による場合も深刻なのである。
これに対する普及啓発や教育として、
学校の性教育などにおいては、
「裸画像の送信・要求は愛情ではない」
「自分の身体を大切にしていい」といった語りかけや
デートDV防止教育など、
子どもを被害者にも加害者にもしない取り組みに
力を入れねばならない
(関連発言:第1回専門部会議事録8-9頁、
第5回専門部会議事録13頁)。
今回の答申は、上述のように
脅されたり、だまされたりするなどした自画撮り被害への対策を中心にまとめたが、
それ以外のケースで子どもが自ら画像を作成・提供した場合についても、
都が普及啓発等の施策の推進に努めることとしている(答申11-12頁)。
今後、答申内容を実施・運用する段階では、
恋愛感情による自画撮り被害への対策もいかに充実させていくかが、課題となるだろう。
なお、自画撮り被害をめぐる私の考えについては、
拙著『リベンジポルノ~性を拡散される若者たち~』で
更に詳しく述べている。
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