2016年10月7日金曜日

ノーベル賞受賞者の妻と「内助の功」報道

今年のノーベル賞にも、日本が男性受賞者を輩出した。
そして今年も、受賞者の妻の「内助の功」を強調しようとする報道が溢れた。

毎度繰り返されるこの報道パターンの問題点については
ニュースサイト「BuzzFeed」でコメントしたが、
この場で少し補足しよう。

「内助の功」とは、
「陰ながら援助する身内の功績。特に、夫の活躍を支える妻の働きについていう」
表現である(デジタル大辞泉)。

この表現をメディアは褒めるつもりで使っているが、
実は、 夫に対しても妻に対しても、失礼な報じ方である。

まず夫に対しては、
ノーベル賞の受賞は、夫本人の仕事上の功績である。
本来焦点を当てるべきは、夫自身の努力、職場の同僚の協力であろう。

一方、妻に対しては、
「夫のために自己を犠牲にすることが美徳」というイメージを押し付けている。
妻を夫の補助的な存在として位置付け、対等に見ていないのだ。
妻にも一人の人間としての能力やキャリアがあることは無視される。
夫は妻に支えられて快適に研究出来たかもしれないが、
では、 黙々と家事育児をしてきた妻のことは、 
誰かが支えてくれただろうか。

ちなみに日本には、
女性のノーベル賞受賞者は
研究者における女性の割合は15%未満と、
国際的にも非常に低いとされる。
主な要因として、
「家庭と仕事の両立が困難」であることが
挙げられている。

妻の「内助の功」に支えられて研究者の道を邁進出来る男性とは
えらい違いである。

もちろん、
「私は自ら進んでキャリアを中断し、
夫を陰で援助する役割を選びました」
とインタビューに語る妻もいるだろう。

だがそれは、
本当に自身が望んだ選択だったのだろうか。
自分や夫の親や職場から
「妻は内助の功に徹するのが当然」とプレッシャーをかけられたり、
あるいはそのような考え方を「美しいもの」として
自分に刷り込ませ、納得させたりしてはいなかったか。
妻が夫を支えることが美しいことなのだ、
と肯定的なイメージをメディアが世間に広めることは、
「女性が本来持っているはずの能力や、やりたいことなどが開花する道のりを、
結婚によって閉ざされても構わない」という
古くからの価値観を強化し、再生産していくことにもつながる。
内助の功に対するそのような
「美徳の上塗り」報道を、
メディアはいつまで続けるつもりだろうか。  


【参考文献】

 『オトナのメディア・リテラシー』
         (リベルタ出版)  


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