ネット上で多く見られる意見、すなわち「ネット世論」が
注目されることが多くなってきた。
放射能の恐怖を煽ったとしてネット上で非難され
某週刊誌が謝罪したように、
ネット世論に現実社会が「対応」する例も出ている。
学生が、あるテーマでレポートを書く際に
ネット上だけで情報収集し、
「このテーマに対しては
こういう意見が『社会の主流』です!」と主張することなど
もはや日常茶飯事。
一般的に、ネット世論は次のような形で
広まっていく:
1.個人があるテーマを取り上げ、
ツイッターや2ちゃんねる等で「A」という意見を述べる
→リツイートや転載で拡散
2.ネット系ニュースサイトが盛り上がりに目を付け、
「ネットではAという意見が『多い』」と紹介
→共感した人々がさらに拡散
3.そのテーマについては「A」という意見が書かれたサイトが
ネット上に多くなり、検索結果でも上位に来る
→「多数派」の地位確立
だが、ネット世論は決して
「現実の人々の意見」をそのまま反映してはいない。
ネット上で特定の意見が増えた(ように見える)と、
それと異なる意見を持つ者は
自分を「少数派」だと思い、黙り込んでしまう。
ネット上で反論すると、誹謗中傷を受けたり
自分のサイトが炎上したりするからだ。
その結果、多数派はますます多数派になり
注目を集め、
異論はますます少数派になり、顧みられなくなる。
これを政治学では「沈黙の螺旋(らせん)」という。
ネット世論の場合、重要な役割を果たすのが
2.のネット系ニュースサイトだ。
レビュアー数が一般サイトに比べ格段に多いので、
ここで紹介された意見は
一気に「多数派」への階段を駆け上がる。
だが、そのニュースサイトが
どの意見を取り上げるかを「選ぶ」過程には、
「イデオロギー」が入り込んでいることを忘れてはならない。
(メディアとイデオロギーの舞台裏は
『オトナのメディア・リテラシー』を参照しまっし)
ネットで情報収集するあなたは、注意しましょうね。
とりわけ、特定コミュニティにハマっていると、
そこの意見が全てであるかのように錯覚しがちやけん。