2011年4月24日日曜日

【論文】ネット性情報が「歪んだ異性観」を促進する可能性

『慶応大学メディア・コミュニケーション紀要』に
論文を寄稿した。
「ネットの性情報に対する規制と
メディア・リテラシー教育の国際比較」
について。



インターネット上の違法・有害な性情報をめぐり、
・日本の規制とメディア・リテラシー教育の現状
・カナダの規制とメディア・リテラシー教育の現状
を比較、分析した研究結果を報告している。

ネット性情報への対策として、
日本の政策は規制面に偏る傾向があるが、
カナダは教育に力を入れていることが
明らかになった。

また、日本をはじめ世界の若者が
ネット上に溢れる性表現をどの程度目にしており、
そこからどのような「異性観」を得ているかを、
アンケート調査から分析。

注目すべきは、
青少年の異性観に、ネットの性情報が与える影響に関する
以下の結果である:

児童ポルノサイトを見た感想として、
「児童への性的好奇心が高まる」
「児童へ性行為をしてみたくなる」と答えた者が各4.5%いた。

さらに、女性全般への性犯罪と見なされる行為(痴漢や強姦など)を
性的興味を満たすために取り上げるサイトを見た者に至っては、
「そのような性行為への性的好奇心が高まる」と答えた者は
全体で実に1 割近く、9.3%もいた。

ネットをきっかけとする性犯罪の被害者は、「児童だけ」ではない。
児童ポルノのみならず、「ポルノ全般」への規制や教育のあり方も、
今後議論されるべきであろう。

なお本調査は、電通の吉田秀雄記念事業財団から助成を受けた
共同研究に基づく。
近く、海外で開かれる国際会議でも発表する予定である。