共同通信の「争論」という欄で、「児童ポルノ規制」に関するインタビューにお答えした。
下記のポイントについて、Q&A形式で解説している:
・児童ポルノの現状
・漫画やアニメの影響
・「表現の自由」との兼ね合い
・テレビや新聞の報じ方
コメントの要旨はこちら(追記: 2022年6月21日公開)↓
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【性犯罪要因 つぶす必要】
-規制強化論の背景に「日本は児童ポルノ大国」という国際的批判がある。
「日本発の児童ポルノは海外で非常に人気がある。日本製は女性を従属させる暴力的なストーリーが多く、男性に優越感を与える。海外は女性の立場が強いせいか、そういうものが少ない」
「児童ポルノ関係の国内の事件摘発数は毎年、増え、過去最多を更新している」
-犯罪との関係は。
「児童買春など性犯罪に至る人は、人間関係のストレスや家庭環境などいろんな要因があって、不満のはけ口として子どもに手を出す。児童ポルノは犯行のきっかけ、手口のヒント、最後の引き金など、少なくとも一因になる。見なければ全くなくなるとは言えないが、要因は一つ一つ、つぶしていかなければ」
「複数の大学で学生にアンケートやインタビューをして、メディアの性情報の影響を調べているが、子ども時代からかなり振り回されている。ある男子学生は中3のとき、交際する彼女と強引に性交した。漫画で、女の子が口では拒否してもだんだん喜ぶというパターンが多かったからだという。女の子が家に来たら迫ってもOKだと信じている男子も多く、それによる女子の被害も後を絶たない」
-漫画やアニメ、ゲームの影響は大きいのか。
「実写ならそうはいかないが、漫画やアニメは性被害を受けて喜んでいる子どもを描く。子どもの方が望み、受け入れているという描き方ができる。罪悪感がなくなる。また、漫画やアニメは子どもに身近な娯楽で、価格も安い。情報源としての比重が大きい」
「ゲームでは、自分が主人公になるようなものが影響が大きい。美少女ゲームなどで女の子がどう反応するか見て、現実の女性も同じだと思い込んでしまったりする」
-表現の自由を侵す恐れがある。現状の規制では不十分なのか。
「わたしも番組を作っていた立場なので表現の自由は守りたい。だが、凌辱ものや鬼畜ものなど、力によって相手をねじ伏せる描写を野放しにしていいのか。表現の自由の保障を超えている」
「性表現のマーケットは利害関係者が多い。生半可なやり方では止まらない。実際、これまでの規制では止まっていない」
-新聞やテレビの扱い方をどう見るか
「新聞社は論調にばらつきがあるが、やや規制反対に偏っている印象を受ける。表現の自由の危機であるという視点にこだわりすぎ、とりあえず反対しておこうというトーンにみえる」
「テレビでは最近、子どもを責めるような報道があった。子どもが自らの意思で自分の裸の写真を売ったり、体を売ったりしている。これはけしからんと。買う大人の問題に焦点を当てていない。この問題は、わたしたち大人の問題であることを明確にするべきだ」
(2010年9月1日、「どうする児童ポルノ規制」『共同通信 争論』)