2009年4月21日火曜日

痴漢冤罪事件の本質

電車内での痴漢の罪に問われた男性が
14日に最高裁で逆転無罪を言い渡された事件。
多くのメディアがこのニュースを大々的に取り上げたが、
「痴漢捜査はもっと慎重にせよ」


との論調に終始するものが大半だった。
特に判決当日の『NHKニュース7』は
他のニュースより長い時間をかけ、
専門家の男性まで引っ張り出して、この主張ばかりを強調。
いかにも「マッチョメディア」的な報道であった。



だが、そもそも物証が少ない痴漢冤罪事件の本質は、
そんなところにない。
問題は、この男性の逮捕劇の陰で
ほくそ笑んでいる人物がいることである。
その人物が痴漢行為を働かなければ、
男性が被害者から誤解されることもなかったのだ。



つまり、「痴漢冤罪を防げ」と
メディアや男性団体が声高に言うのなら、
痴漢の存在そのものを無くす方向へ斬り込んでいかないと、、
根本的な解決にはつながらない。





「痴漢もの」のAVが人気を集め、
ネット上には痴漢行為の仲間を募集するサイトがあり、
「女性は触られて喜ぶ」などと
加害者の罪悪感を減らそうとする書き込みも繰り返されている。
これが、日本社会の現状だ。

痴漢に間違われるのを防ぐため、
「男性は両手でつり革や鞄、本などを持つように」
との自衛策を紹介するメディアもあったが、
より有効なのは
『女性専用車両』の導入徹底だろう。
満員電車での密着による「出来心」も防ぐことが出来る。

しかしながら
この女性専用車両、未だに導入が遅れている路線も多いのだ。
とりわけ、利用者の多いJR山手線に無いことには驚く。



メディアは、痴漢をめぐるこのような背景の改善をも
提唱すべきだった。



痴漢捜査に客観的証拠を求める世論を推進することは、
被害者に申告をためらわせ、
痴漢を喜ばせるだけである。














『マッチョメディア』的な報道とは?
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著者:渡辺 真由子



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