2022年10月19日水曜日

「性情報への対処」を指導できる教育者へ

東京都渋谷区役所職員の29歳の男が今月、準強制性交の疑いで逮捕された。交際相手の20代の女性に自宅で睡眠薬の入ったミルクティーを飲ませ、性的暴行を加えたとされる。
この事件が、私が学長を務める大人の学び舎『銀座MAYUMEDIAカレッジ』(Mカレ)で話題に上った。

Mカレでは、助産師・看護師・養護教諭などの医療職や、国家公務員・大学教員、さらにはPTA会長や警察出身者など、「子どもと性」に関わる人々が、全国からオンラインで学んでいる。今学期は『開発!性情報リテラシー教育』の授業がスタート。メディアが発信する性情報の影響実態や「性的同意」について、ディスカッションを行った。

恋愛マニュアルに関する性情報の王道といえば、「家に来る女子には、性交する気がある」というもの。つまり、家に来た時点で「同意」が成立している、とみなすよう指南する。家に誘う口実としては、「一緒にDVDを見よう」「飲みなおそう」などの文言が推奨されている。

報道によれば本件の容疑者も、「一緒に映画を見よう」と相手女性を自宅へ誘ったという。ところが、彼女は自宅には来たものの、性行為は嫌がった。仮に容疑者がメディアの性情報を参考に動いていたのだとすれば、想定外の展開に戸惑ったかもしれない。

その後、容疑者は彼女に睡眠薬の入ったミルクティーを飲ませ、犯行に及んだとされる。そこには、相手から性的同意をとろうとする姿勢は微塵もみられない。

メディアの性情報には、性をめぐるコミュニケーションについて、現実の人々の心とはかけ離れた内容や、相手の尊厳を重んじない内容があふれている。こうした性情報への対処について、学校や家庭で大人が教えていくことが必要だ。文科省の中高生向け学習指導要領も、性情報への対処について指導するよう述べている。

子どもたちが性情報に適切な対処をできるために重要なのは、 AVやネット・SNSなどの性情報をうのみせず批判的に読み解くメディア・リテラシー、すなわち「性情報リテラシー」能力だ。

Mカレは2020年の開校以来、性情報リテラシーを養う教材を開発する、日本初の取組みを実施している。今学期はどのような教材が仕上がるのかが楽しみだ。子どもたちに性情報を読み解く目を育てることで、誤った性情報からの影響が疑われる性暴力が、根絶されることを願う。

 

 【参考文献】

渡辺真由子「メディアの性情報と性情報リテラシー ~性教育にメディア・リテラシーを~」(『現代性教育ジャーナル』、2013)
 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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性的同意とメディア






 

 

 

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http://www.mayumedia.com/