2022年3月25日金曜日

「性情報リテラシー教育」と学校現場

性教育の実践を積み重ねている一般社団法人“人間と性”教育研究協議会(性教協)の沖縄サークルで学習会が開かれ、私も取材させて頂いた。

というのも、私が学長を務める銀座MAYUMEDIAカレッジ(Mカレ)の卒業生の方が、講話を担当するからである。

登壇したのは、性情報リテラシー教育協会認定アドバイザーの屋慶名美和さん(フリーライター・CAPスペシャリスト)。
 
若年妊娠やネットを介した性暴力、性搾取など、子どもたちが犠牲になる現状への危機感から、「性情報リテラシー教育」の重要性を感じ、Mカレで学んだ方だ。

講話は、屋慶名さんが開発した、小学校6年生向けの性情報リテラシー教育教材の紹介。
教材のテーマは、「スマホデビューの前に~思春期のこころとからだの守り方~」。

・SNSによるグルーミング等にだまされないために

・自分を守るツールとして「法律」を知る

・「助けて」と言いあえる社会を作る

……といった狙いを持つ、具体的な教材が紹介された。
これらの内容は、性教育の世界基準とされるユネスコ『国際セクシュアリティ教育ガイダンス』にも基づいている。
 
会場の学校教員や産婦人科医、大学教員からは、「これは小6には難しいのでは」「まだ早いのではないか」といった声が上がる一方、「国際スタンダードはもうこのレベルなのだから、日本の教員たちも、性教育でメディア・リテラシーを伝える実践に取り組むべきだ」との指摘もなされた。
 
元学校教員のMカレ受講生によると、「性教育をめぐっては、学校現場の状況と、デジタル時代ならではのニーズとの間に格差がある」という。
「教員が新しい実践をやりたくても、管理職をどう説得するかが大変。国が『ここまで突っ込んでいい』というガイドラインを作ると、現場の教員たちも動きやすいのでは」
 
実は文部科学省の学習指導要領には、中学・高校生を対象として、「性情報への対処」を教えよという記述が既にある。 
 
今後は、それを現場レベルで、より広い年代の子どもに実践できるよう、具体的なガイドラインに落とし込んでいく必要があるのではないか。Mカレで開発されている数々の教材も参考になるかもしれません。
 
☆この講話は、毎日新聞でも紹介されている
 
 

【参考文献】


『性情報リテラシー』(渡辺真由子著)
Amazon Kindle版
PDF版







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2022年3月7日月曜日

「不同意性交」を防ぐ性教育とは?

なにやらバタバタしていて、気づけば前回のブログ執筆から1ヵ月以上がたってしまった。
お変わりございませぬでしょうか。

さて最近は、同意のない性交、すなわち「不同意性交」の犯罪化をめぐる議論が続いている。
刑法の改正はもちろん重要だが、「そもそも不同意性交を発生させないためには、どうすればいいか」も検討されねばならない。

不同意性交の背景には、SNSやAVといったメディアの性情報による影響があることが、私の取材・研究から明らかになってきた。

子どもにスマホを使わせるにあたり、保護者が特に心配をする点は何だろうか。

いわゆるアダルトサイトが発信する過激な性的有害情報を我が子が目にし、性に対する歪んだ価値観を身につけてしまうことを懸念する保護者は多い。 

技術的な規制には限界がある。そこで必要になるのが「性情報リテラシー」教育だ。

アダルトサイトを始めとするメディアが発信する性的有害情報にはどのような特徴があり、どんなテクニックを使って、子どもたちの性意識・性行動にどう影響を与えているのか?

「性的有害情報が青少年にもたらす影響」をまず大人が読み解き、理解することで、子どもが性情報を鵜呑みにせず自分の頭で判断出来るよう、導いていかねばならない。

私は過日、共同通信を介し複数の新聞紙上で、「若者の性とメディア」をめぐる現状と問題点、対策について取材・分析する連載を行なった。

読み逃したあなたにも一緒にこの問題を考えてもらうため、公式ホームページに公開しよう。

【「性情報リテラシー」が必要なのは子どもだけではない】

あなたが過去の性的関係を振り返ったとき、
「そんなつもりじゃなかったのに、相手に強引に迫られた」
「相手の意図を誤解した行動をして、気まずくなった」
といった経験はないだろうか。

無理強いをする性行動は、「デートDV」の1つでもある。
取材を進めるなかで、大学生の女子たちが、日常的にデートDVの被害に遭っていることも明らかになった。

なぜ、性をめぐるコミュニケーションにはズレが生じてしまうのか。
あなた自身は、メディアの性情報をどのように利用してきたのか。

当事者としてもお読み頂きたい。

⇒共同通信の連載記事一覧はこちら


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『性情報リテラシー』(渡辺真由子著)
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