相手の趣味や好きな異性のタイプといった情報は、本来ある程度仲良くならないとわからないもの。
だが、いまは『プロフ』がある。
プロフとは、プロフィールを記入するホームページの略称だ。
主に携帯電話からアクセスし、名前や生年月日、好みの音楽など、自分の情報を公開する。
写真や日記を載せたり、第3者がコメントを書き込んだりすることもできる。
一時期は女子高生の7割以上が利用するとされる程のブームになり、
いまもスマートフォンに対応したプロフ用アプリが登場するなど、人気は健在だ。
子どもたちは「私のプロフのアドレスはこれ」と名刺交換のように紹介し合う。
言葉を尽くさず時間を共有せずとも、手っ取り早く相手を理解出来るので人気だ。
本当は表面上の「データ」を知ったに過ぎないのだが。
あまりに詳細な個人情報をネット上で公開すると、犯罪に悪用される危険性がある。
しかし子どもによっては、名前は本名、住所は番地まで、学校名は学籍番号
まで記入し、さらに素顔の写真を載せる。
身近な友人にしか見られていないと思い込んでいるのだ。
中3のA子の周りでは、友人と撮ったプリクラを掲載するの
が流行中だという。
「いちいち友達に許可取るのは面倒くさい。勝手に載せるのが当たり前になっちゃってる」
プロフの自己紹介欄には、先に挙げた基本的な個人情報に加え、
似ている芸能人、前世、握力など、100近い項目が用意されている。
いちいち答えるのは疲れるだろうに、子どもたちは律儀に書き込む。
自分のことをわかってもらおうと必死なように見える。
「誰か絡んでぇ」「絡め!素通り禁止」「絡もーよ」
ある大手プロフサイトには、自分のプロフを宣伝できる掲示板がある。
頻繁に登場するのが「絡んで」という言葉。
「自分のプロフにコメントを書き込んでく
れ」との意味だ。
中2のB子の友人たちは、プロフを更新するたび「新しくしたよ。見てね」とメールしてくる。
「こっちも義理で、コメント書き込まなきゃい
けないから大変。わざわざ知らせてくれなくてもいいのに」
子どもたちは、構って欲しいのだ。自分を理解し、声をかけて欲しいのだ。
学校や家庭で、満たされない思いを抱えているのか。
自己紹介欄をつぶさに記入し、「絡んで」と叫ぶ姿には、悲壮感すら漂う。
(新聞連載)
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