本欄では「ネット・リテラシーと青少年保護」をテーマに、
これまで様々な新聞で連載した記事を掲載していきます。
ネットいじめ、SNS中毒からデジタル化する友人・恋愛関係まで……次々お届け!
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【ネット・リテラシーと青少年保護】1.メールでつながる友人関係
「髪切ったよ」「どんな?」「前髪重めで」「いーじゃん」
たわいもない放課後のおしゃべり。いまの子どもたちは、こんな一言ずつのやりとりを携帯電話のメールで行なう。携帯メールが、友人関係の構築に欠かせない道具となりつつある。
NHKが2012年に実施した調査によれば、メールを使用する子どもは中学生で60%、高校生では96%に上った。最近はLINEの流行もあり、コミュニケーションを文字のみで行なう傾向は加速している。
なぜ子どもは、友人とのコミュニケーションにメールを多用するのだろうか。「親にバレないから」と言うのはA子。家族に聞かれたくない内容も、携帯メールでなら気軽にやりとり出来る。気になる男の子の話をするとき、固定電話の線を懸命に自室へ引っ張り込んでいた私としては、かなり羨ましい。
時間と場所を選ばない点も、塾に部活にと忙しい子どものライフスタイルに合う。電車やバスの中でも打てるメールは、手軽に友人との絆を確認できる手段だ。
さらに、相手の表情や声を直接受け止めるプレッシャーも避けられる。反応は時間差で文字となって返ってくるだけ。謝りたいときや怒りたいとき、メールで一方的に送り付ける方が気が楽だ。
だが、文字のみのやりとりには弊害も大きい。人の印象を決めるのは話の内容よりも、声のトーンや表情、しぐさなどの非言語的表現であるとされる。これらは文字だけではとても把握できず、誤解を招きやすい。相手の表情を読み取りながらコミュニケーションを取る能力も身に着かない。
仲良しグループでは、友情の深さはメールへの「返信の速さ」で量られる。B子は宿題を始める前、友人に「いまから宿題するから携帯の電源切るね」と伝える。内心面倒くさいと思いつつ、可愛い絵文字も添えておく。以前友人のメールに返信するのを忘れ、「軽く見られている気がして気分が悪い」と責められたことがあるのだ。
C子は友人から届いたメールの内容がつまらなくても、返信の文面に「(笑)」や笑顔の絵文字を付け、面白そうに思っているフリをする。
携帯メールのおかげで、子どもたちはいつでもどこでも、つながれるようになった。だが無難な文章とカラフルな絵文字は、友人関係の「うわべ」だけを飾っているようにも見える。
(新聞連載)
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