3年間にわたる慶応大学での講義が、
今期で終了した。
私が教えたのは「メディア・リテラシー」。
前半では、メディアの受け手として
情報を読み解く理論を学び、
後半では、自らメディアの作り手として
情報を発信する手法を学ぶ。
広告・ニュース・映画・ネットといった媒体から
情報を鵜呑みにしないために、
価値観をコントロールされないために、
見破るべき点とは何か?
カナダのメディア・リテラシー理論に基づいて
読み解き方を教えた後は、
学生に1人ずつ
ミニ・ドキュメンタリーを制作してもらう。
テレビ局報道記者・ディレクターとしての
私の経験を踏まえ、
企画の立て方から取材、撮影、編集まで
一連のテクニックを手ほどきする。
今期は参院選が近かったため、
「大学生の選挙意識」というテーマで
同級生や議員などにインタビューし、
投票率低迷への問題提起をする作品が
複数見られた。
この講義で重視するのは、
映像作品の技術的な完成度ではない。
学生自身が「作り手の意図」を体感し、
なぜそのカットを選んだのか、
なぜあのインタビューを捨てたのかを
客観的に説明出来るかどうかを見る。
「編集次第で『事実』はどうにでもなるんだな、
とわかりました」
ある学生の感想だ。
ここで身に付けたリテラシーを生かし、
今後はメディアに限らず、様々な情報に
批判的に向き合うよう願っている。
3年間の講義は私にとっても、
若い視点に触れることが出来る
新鮮な時間だった
(イヤ、そんなに年変わりませんけど)。
出会った学生たち、お世話になった関係者の方々に
感謝したい。